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海とドライブ5
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(葵語り)
とりあえず、トイレに逃げ込むことにした。
確か、一階にあった気がする。
先生が居ないのを確認して、一階に降りる。
どこかな……
キョロキョロしてたら、
「トイレはこの奥だよ。」
和樹さんが後ろに居るのに気がつかなかった。
喋ると泣いてるのがバレて恥ずかしいので、会釈をしてトイレに入った。
座って、深呼吸する。
泣かない。泣かない。絶対に泣かない。
もう一回深呼吸。
はぁー。
落ちついてきた。
パチン、と頬っぺたを叩いた。
よしっ大丈夫。
出ると、ハナちゃんがいた。
思わず駆け寄って、撫でた。
毛並みがきれい。
ハナちゃんは美人さんだね。何歳かな。
先生の彼女を何人知ってるのかな。
ハナちゃんが話せたらなぁ、色々聞くのに。
「伊藤君、さっき泣いてた?」
和樹さんが話しかけてきた。
「い、いえ……泣いてないですよ。」
「おかしいな。気のせいかな。兄貴に何か言われた?」
「言われてないですから。」
ははは、と愛想笑いをした。
「伊藤君って、兄貴とどういう関係なの?彼女さえ家に連れてこない兄貴がさ、君を連れてきた。しかも生徒の君を。すごく気になるんだけど。」
「…………仲が良くて、時々勉強を教えてもらってるだけです。」
「ふうん。本当にそうなのかな。」
和樹さんがじわじわ近づいてきた。
壁に追い詰められる。
ドンと手で制された。
「どうやって兄貴を誘惑したの?そうやって甘い香りをさせて誘ったの?」
「甘い香りなんか……してない。」
和樹さんがじっと見つめてきた。
顔が近い。動けない。
「兄貴は、モテるよ。昔っから女が絶えなかった。男の伊藤君なんかそのうち捨てられる。」
言い返せる言葉が無かった。
和樹さんの言う通りなのかもしれない。
「興味本位で構ってるだけだから。せいぜい頑張って。写真ぐらいで泣くなら止めておけば。」
和樹さんは、ギリギリまで顔を近づけた後、
捨てゼリフを言って去って行った。
写真…………。
あれを仕込んだのは、和樹さんなのか。
和樹さんて先生と兄弟だよね……。
俺には兄貴を渡さないって聞こえた。
呆然としている俺を先生が探しに来た。
「どこいったかと思ったよ。ハナちゃん触ってたの?」
ハナちゃんは側にいてくれた。
「うん。かわいくて。ハナちゃんは何歳?」
「うーんと、確か12歳かな。おばあちゃんだよ。」
そっか。ハナちゃんは先生の彼女をたくさん知ってるんだね。
なでなでするとハナちゃんは気持ちよさそうに喉を鳴らした。
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