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新年会2
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(熊谷先生語り)
青木先生はさりげなく、山崎先生を教頭先生にお酌するように促して退席させた。
俺は隅っこで青木先生と二人になった。
みんながそれぞれ話をしているので、他人の話なんか全く聞いていない。
俺は黙って煙草を吸う。
相手が何か言うのを待っているのは、まるで死刑執行前の囚人のようだ。
「2年3組の伊藤葵くんとは、いつからそんな関係ですか。」
青木先生、いきなり島田級の直球な質問だ。
俺は吸っていた煙草の煙にむせた。
「……そんな関係って……」
「だから、恋仲です。恋人。初詣でキスしてたの見ましたよ。まさか、あなたまでお仲間とは思いませんでした。」
キスも見られてたか。
「お仲間?」
「ええ、ゲイ仲間です。違いますか?」
青木先生はまっすぐ俺を見た。
ゲイでなければ、間違いなく女の子を取っ替え引っ換えできる容姿だ。
「熊谷先生は、伊藤君より僕と一緒の方が絶対に幸せになれます。」
えーーー。何か沢山誤解をしている。
目が点になる?開いた口が塞がらない?
そんな感じだ。
「僕と一度お試しで付き合いませんか?それで僕か伊藤君かを決めて貰えばいいですから。」
青木先生と付き合う?
いやいやいや、ないでしょ。
気持ち悪い想像しかできない。
「あの……まず俺はゲイではない。普段は女の子が好きだし、葵が特別なだけで男は好きにはなれない。だから、あなたの気持ちには応えられない。気持ちだけいただきます。」
よし、言い切ったぞ。
青木先生は顔色一つ変えなかった。
「伊藤君の色気にやられたんですね。あなたも、猪俣先生も。」
この人はどこまで知ってるんだ。知りすぎてて怖い。
「そんな顔をしなくても、誰にも言いませんよ。僕はずっとあなたが好きだったので、 今更嫌いにはなれないです。また僕が必要になったら言ってください。いつでも付き合いますから。」
青木先生が、俺の手を握った。
「ずっと触りたかった手でした。あのう。ときどき触らせてもらえますか?」
手……ぐらいなら……
それで青木先生のベクトルが葵に向かなければ安い位だ。
男同士で握り合うのは気持ち悪いけど。
「手なら……構いませんが。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
青木先生がうれしそうに笑った。
俺の手をしばらくにぎにぎしていた。
まさか飲み会の隅っこのスペースで愛の告白を男同士でしているとは誰も思うまい。
早く葵に会いたくなった。
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