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164 いつからだ?
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潤が、またパニックを起こした。
これでは潤の一人暮らしは危険ではないかと思う。
本当の理由がわからないまま、
単に、小田切にされた家に、戻れないと言う理由だけだとは思えない状況で、
潤を一人にして良いのか。
また、もっと酷いことになったらどうするのか。
誠一郎は、医師として、それよりも父親として、
潤を守るために、家族を守るために、自分が責任を持って決断しなければと思う。
佳子は、もういっぱいいっぱいだろう。
真実(まこと)が生まれてから、心の休まる日は無かったはずだ。
私の病院の手伝いもしてくれ、家の仕事もきちんとこなし、子育てもしてくれた。
障害を持つ真実のためにも、強くなろうと決めたと言って、
明るく、優しく、たおやかだった。
けれど、佳子も人間だ。
真実が痛がり、呼吸困難になり、骨折し、普通のことができない様子に、
悲しみ、不安になり、夜も眠れない日も多々あったことを知っている。
潤は、そうだ。潤は、とても明るかったんだ。
不意に潤の幼い頃を思い出した。
真実が生まれてくるのを楽しみにしていたのに、
弟は生まれてきたら長い入院で、
母も病院へ行ったっきりで寂しかっただろうに、
私も、外での病院勤務から逢瀬病院へ移ったばかりで忙しく、
保育園と母に任せっきりだった。
それでも、潤は明るかった。
踊ったり歌う事が大好きで、
よく家族の前で披露してくれた。
絵を描いても、絵本を読ませても素晴らしい表現力だった。
いつからだ?
潤が、あんなに、自分を押し込めるようになったのは。
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