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Act1 7
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ベッド脇のテーブルに置いた写真立てを手に取る。
にかっと笑ってピースサインをする和哉と、目をつぶって写る俺。
3年前の冬にふたりで撮った唯一の写真だ。
あの頃は、カメラのフラッシュが怖くて、なかなか慣れることができなかった。
ピカッと光る瞬間に目をつぶってしまう。
それを見て和哉が笑っていたのを思い出す。
今は、もっと写真をとっておけばよかったとか、思う。
のろのろと起き上がって服を着替える。
棚を見ると食パンがちょうど切れていて、
俺はコンビニに行こうと玄関に立った。
ドアの近くに貼ったカレンダーが目に入る。
“12月 24日”
人間は、今日をクリスマスと呼び、プレゼントを贈り合うらしい。
…それを教えてくれたのも、和哉だ。
近くのコンビニで6枚切りのパンを買った。
まだ朝早いのに、ツリーが立っていたり、サンタクロースの人形が置いてあったりして、町がなんとなく浮わついているような感じがした。
それに背を向けるように、アパートに帰る。
ドアの前に立つと、
不意に、
何かがこみあげてきた。
『おけーり!外寒かったろー?こたつあったかいぜー』
「……っ…」
会いたい。
あの人に、
会いたい。
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