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Act1 10
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ぶんぶんと手を振る和哉の姿を見て、頬が緩む。
右手を挙げて手を振り返すと、和哉がいっそう笑みを深くした。
行き交う車の間から、そわそわと足踏みをする和哉が見える。
早く、早く、という口の動きが見えた。
クリスマスだからか、交通量が多い。
信号機が変わるのが待ち遠しくて、いつもより長く感じた。
…早く、和哉を抱き締めたいと思った。
信号が赤になり、車がゆっくりと止まっていく。
和哉の姿がはっきり見えた。
にっこりと笑って、信号が青になった瞬間に、走って俺の方に向かってきた。
嬉しそうに、
本当に、
嬉しそうに笑って、
突然、
和哉の右側から、トラックが飛び出した。
「和哉!」
走ってくる和哉は、まっすぐ俺を向いていて気づかない。
「和哉!危ない!」
立ち止まった和哉がトラックの方を見たときには、
キキーーーッ、
「和哉…っ…!」
和哉の体が、
宙に浮いて、
道路に投げ出された。
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