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〃 ⑤
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ようやく降谷から解放された御幸は、食堂に向かった。
もしかしたら、という期待を込めて。
すると、願いが通じたのか、途中で純とバッタリ会った。
「純さん…!」
「おぅ、御幸、どこ行ってた?」
相変わらずの目つきの悪さと乱暴そうな口調で純が尋ねる。
「スミマセン!降谷の」相手をしていて、と言いかけて、純が1人ではないことに気が付いた。
「降谷の相手か」
野球部キャプテン、結城哲也が純の背後から御幸に声を掛ける。
純は副キャプテンなので、2人はよく一緒にいる。
妬けるけど。
「頑張るな」
「哲さん…」
哲は、通いの部員なのに、こんな時間まで…?
「純が、せがんで来たのでな」
「…?」
「オレのを振りたいって言うのでな」
「オレの…?」
御幸がオウム返しに呟くと、
「やっぱ、握り具合がイイんだよな~手に馴染むって言うか!」
と、純が感心したように言う。
「だけど、ちょっと重いんだよ、お前の」
「ああ。純には少し重いかも知れないな。
オレのは少し大きめだからな。
しっかり握って腰を上手く使わないと、イかないだろうな」
哲が諭すように言うのを、御幸が遮る。
「純さん…!哲さんとナニしてたんスかっ?!」
「あ…?哲と、す」
「素股?!」
「はあっ?!おま、何言って…!」
思わず赤面する純。
「だって!握りが馴染んだ重いのを腰を使ってイクって…!!」
やっぱり、この2人、ナニかあるのか?!
まくし立てる御幸に純が吠える。
「ばか野郎!よく聞け!素振りだよ!す・ぶ・り!!」
えっちスイッチ入ったままの御幸は脳内変換が
誤作動を起こしたらしい。
「純。御幸が来たんだ。オレは帰るぞ」
混乱する2人に、哲が声を掛けた。
「あ、哲!気を付けろよ!悪かったな」
右手を軽く振り、哲は帰宅の途についた。
「あれ…?」
哲の退場にようやく落ち着いた様子の御幸に、純が
苦笑い混じりに言う。
「お前を待ってる間、哲の素振りに付き合っててよ。アイツのバットを振らせてもらったんだ。
だけど、オレにはちょっと重くてな~
そしたら、腰を入れて振らないとスタンドには
イかないぞ、って笑われたよ。
ったく、アイツと一緒にすんなっての!
…お前は正捕手だからよ、ピッチャー優先じゃなきゃな!」
「純さん…」
待っててくれたんだ、と胸がジンとなる。
「ま、待たされた罰だ。ファンタ奢れよ」
ニヤリと笑って純が言う。
「あ、はい」
「あー、ついでにアイスも追加な」
「あ…はい?」
腹が減ったからよーとガハハと笑う。
「あ、ついでに」
「いや、もうダメです。データ見るどころじゃなくなります」
「なんだとコラ」
「さ、行きますよ」
そうそう、見ながらのお楽しみが待ってるんだ!
純の手を引っ張りながら食堂に向かう御幸だが、
ただいま食堂は、自主トレを終えた部員達が
たむろしていて、騒がしいという事実は知る由もなかった…。
おしまい
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