アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〃 ②
-
野球に「たら、れば」は無いと よく言われる。
結果が、全て。
いくら惜しかろうと、どんな良い試合をしようと、
負ければ終わり。
高校生には厳し過ぎる現実が目の前で起こった。
それを 受け入れるか否か、だ。
(オレは受け入れられない)
純は、後悔に身が震えて涙が止まらない。
試合を1回表から繰り返し思い返す。
…あそこで哲が打っていれば、
…丹波の足が つらなければ、
…亮介が交替しなければ、
…沢村が死球を与えなければ、
…川上が打たれなければ、
……………オレが、あの打球を、捕っていれば!!
結局、自分に返ってくる。
自分の気持ちをどうして いいのか分からない。
…辛い。
「……純さん」
顔を上げる事が出来ずに泣いている純に、声を掛けてくる者がいた。
「?」
声の方を向くと、2年生キャッチャーの御幸一也がいた。
「…御幸」
「…純さん、すみません…オレが あの時、沢村に
間合いを取っておけば…」
球場の雰囲気、稲実の気迫に呑まれたのか、
あの時 マウンドに上がっていた沢村栄純は、いつもとは違っていた。
その事に御幸も気付かなかった。
(オレも普通じゃなかった、ってコトかよ…!)と、
御幸は、自分を情けなく思う。
普通じゃないバッテリー……そして あの死球。
試合の流れが変わっていった。
1年生の沢村には、自身が与えた死球のショックが大きく、その後 投げられる状態では なくなり、
2年生の抑えのエース、川上に交替したのだ。
しかし、その川上が…
「お前のせいじゃ ねぇさ…」
純が涙声で言う。
「お前逹のせいじゃねぇ。オレの……
オレ逹3年の……力が足りなかったんだ……」
強がっても、また涙が こぼれる。
(オレ逹、3年なんだ…もう終わりなんだ…っ
3年間、目指した甲子園…そこを目指す事さえ、
もう出来ない………!)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 85