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〃 ⑩
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御幸の顔を見下ろすと、目の下にクマが出来ている。
(オレのせいか……無理させたな……)
指で そっとクマを撫でる。
自分の不甲斐なさに涙が浮かんでくる。
何も考えないように、と御幸の体を拭き始める。
筋肉の付いた、均整の取れた美しい体。
(オレは、この体に助けられたんだ…)
“哲なら よかった” と思わないでもなかった。
いつの頃からか想い続けている哲と、この時間を
過ごしていたら、と思ってみるが、
しかし それは、お互いの傷を なめ合うような、
惨めな思い出になりそうだった。
(そもそも、あの哲がオレを抱く、なんて
する訳ねぇか…)
大会中に、降谷にマッサージをしてもらって
寝落ちした夜、哲の気持ちが聞けて嬉しかった。
でも、そこから どうやって進めていいか、分からない。
あの哲が 言ってくるとは思えないし、かといって、自分から告白して 何もかも壊れてしまったら、と思うと怖くて動けない。
(だから、御幸を利用した?)
そう思われても、仕方ない。
ただ、悲しみと苦しさで、心と体がバラバラになりそうだった純を 繋ぎとめたのは、
御幸の楔である。
御幸に貫かれている その時が、ある意味、正気を
保っている時だった。
その御幸のペニスは 縮こまっていて、数時間前の
猛々しさが 冗談のように思えてくる。
その部分も丁寧に拭いてやり、近くにあった大きめのタオルを、肩口から腰回りまで掛けてやる。
(肩、冷やすんじゃねぇぞ。
…しかし、こんだけやっても起きねぇか……
オレは、どんだけコイツに せがんだんだよ…っ)
御幸には助けてもらった、という気持ちは強いが、
このまま朝まで一緒にいる気は、ない。
そんな事をしたら、自分が1人で いられなくなりそうな気がした。
(誰かに頼りきりになるなんて、ごめんだ)
体中の痛みと、また こみ上げてくる悲しみに辟易しながら、
純は、その部屋を 後にした。
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