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〃 ⑥
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「………ん」
視線を感じたのか、御幸が目を開ける。
寝起きの顔が あどけなく笑う。
「純さん」
御幸が腕を伸ばして純を抱き締める。
その腕は温かく、うっとりする程 心地好い。
顔を近づけ軽く唇を合わせる。
それから御幸は甘えるように純の胸に顔を埋める。
「…気持ちいい…純さん、すべすべ…
あーー良いなあ…やっぱり好きだぁ…」
「そんなトコロで 喋るな、くすぐってぇ」
純は何とはなしに御幸の髪を撫でて、クスクスと
笑う。
「純さん、少しの間、待ってて下さいね…
夏大 終わって引退すれば時間も作れるから、
オレ、関西の方にも行けるし……
オレ、純さんと同じ大学に行こうかって考えてるんスよ」
「何?!」
「追いかけて行きたいかな、なんて」
「お前……プロ志望じゃねぇのかよ?」
「あー、それなら関西方面の球団が良いっスねー
ハハ」
軽く笑う御幸に、純は怒りに似た後悔を感じる。
( このバカ!何 言ってやがる?!
センバツ出場が決まってて、夏だってチャンスが
あって…!
そこで活躍すれば、イヤでもプロのスカウトの目に留まる。
こいつの可能性は、今は無限に近いくらいで…
それなのにオレを追いかける?!
自分の芽を摘むようなコト言ってんじゃねぇっ
そんな御幸は、御幸じゃねぇ…
もっと野心的で、とことん生意気で……
ちくしょう。オレは、どうすればいい…)
「純さん?」
純が黙ったまま御幸から体を離す。
「…何でもねぇ。それより お前、いったん部屋に
戻るんだろ?……もう行けよ 」
「何スか、急に。まだ時間あるし」
「いいから、戻れよ!朝の自主トレも あるだろ!」
御幸が言い終わるのを待たずに、純が苛立たしく言う。
「何か…怒ってません…?」
「…お前が、あんまり馬鹿なコト言い出すからよ」
「馬鹿なコトって…」
「いいから行けよ。オレだって支度があるんだ」
「……はい。じゃあ、また後で…」
「おう…」
御幸が名残惜しそうに部屋のドアを閉めた後、
純はアタマを抱えて溜め息をついた。
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