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〃 ⑦
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卒業式は滞りなく済み、クラスの仲間と写メを撮ったり、それなりの別れを惜しんだ後、
野球部の3年生はグラウンドに向かった。
もうプレイする事のないグラウンド。
この場所に傾けてきた情熱を、それぞれが思い返し
胸に刻んだ。
帰ろうと振り向けば、後輩達が挨拶に来ていた。
お互いに言葉を交わし、檄を送る。
惜しんで涙を見せる者も いる。
やがて落ち着いた頃に、純は御幸の名を呼び、
皆から離れる。
「純さん、卒業おめでとうございます。
………大丈夫ですか? …カラダ」
語尾を小さく御幸が聞いてくる。
「ありがとよ。…けっ、そんな心配、いらねぇっての 」
純は御幸に向き合い、目を見てハッキリと告げる。
「御幸。オレは、お前といる将来なんて考えられねぇし、お前の想いはオレを息苦しくする。
オレを追って来るなんて、して欲しくない 」
「…えっ」
御幸の顔色が変わるのを見て、純は眉を寄せる。
( やっぱ、ショックかな…
でも、回りくどく言っても 伝わらねぇ…!)
「…今のところ、な」
付け加えた純の言葉に、御幸がホッと息をつく。
「純さん、そんなの、オレ」
「今のところって言ったろ? だから、今はイヤなんだよ!
お前がオレを追って来るとか、チョー苛つく!!」
「…はあ」
御幸は、純の剣幕に押されながら、言葉を待つ。
「オレは、お前を縛りたくない。
てか、縛ってるつもりは無ぇんだが、
どうも お前の方が捕らわれてるように
オレには思える。
…どうすりゃ良いのか分からねぇ
……で、まあ 考えたんだが 」
純が、指を1本立てて続ける。
「1年だ。オレは1年掛けて考える。
お前と離れて どう思うか分からねぇし…
何も感じないかも知れねぇ。
さみしく思うのかも分からねぇ。
お前も、1年掛けて考えてみろ。
本当にオレが好きなのか。
本当は好きじゃないのか。
オレと離れて よく考えろ。
他のヤツと付き合ったって良い。
別の誰かを好きになったって良い。
……それで、1年経って、それでもまだお前がオレを
好きだ、って言うなら……
その時は、オレも、受けとめられるように…努力、する。」
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