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休憩-2-
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林にパンフレットも貰ったし、今すぐにでも休憩に入らないと休憩時間を大幅に削られるかまた接客させられる未来が見える。
でも、この格好のまま文化祭を巡りたくない。服を脱いで着替えるにも時間が掛かるし休憩終わった時の事を考えると面倒で、俺は取り敢えず香坂にジャケットだけ預かってもらう事にした。
預かって貰うためにジャケットを脱いでYシャツとベストだけになると案外執事服には見えなくて、俺はホッとしながら香坂の方を向いてジャケットを差し出した。
「林に言われたし休憩に入るな。香坂、悪いけどジャケットだけ預かってくれないか?」
「……勿論。おれで良ければ」
香坂は、そう言って笑うと紙コップをテーブルに置いてジャケットを手に取った。
ジャケットを受け取った香坂は自分の腕にジャケットを掛けた。その姿は、何だか本物の執事のようで此方が照れ臭くなってしまう。
俺は、照れ臭さを隠すようにパンフレットをズボンのポケットに押し込むと同時に手袋もポケットに突っ込むと香坂が壁掛け時計を指差し俺を見た。
「里中。もう休憩行った方がいいんじゃない?」
「えっ……あ……やばっ!」
そう言われて、壁掛け時計に目をやると休憩に入れと言われてからもう5分も経っていた。
俺が、5分も休憩に入らず此処に居る事より、香坂を5分も引き止めてたなんて知られたら確実に殺される。俺が困っていると香坂が俺の肩を優しく叩きながら口を開いた。
「里中が焦らなくてもおれが何とかするよ。ジャケットは大切に預かるから文化祭楽しんで来て」
「悪いな香坂。ありがとう」
「どういたしまして」
香坂はそう言って、ジャケットに大切そうに触れ笑う。俺は香坂の笑顔を見ながら今日はよく笑うなと思って貴重品だけ準備室にある鞄から取り出して準備室側の扉をあけた。
「里中!」
廊下に出ようとした時、後ろから香坂の声が聞こえて振り返った。
「里中。次の休憩時間あればおれに頂戴?」
「え……あぁ別にいいけど。俺なんかでいいのか?」
「うん。おれは里中がいいんだよ……本当に里中がいいんだ。じゃあ待ってる。行ってらっしゃい」
「あぁ、分かった。お土産楽しみにしとけよ」
俺が、そう返事をすると香坂は心底嬉しそうに笑って手を振ると振り返り準備室から出て行った。
俺は、嬉しそうな香坂の背中を見送りながら廊下に出ると朝と比べ活気づいていた。
客引きやらカップル達がやいのやいのと騒ぐ中、俺は扉を閉めて扉に寄り林から貰ったパンフレットを取り出した。
一緒に文化祭を巡る友達は仕事だし俺は特に巡りたい所もないから、取りあえず校内の出店一覧を見ていると“拓海のクラス”でどうやら食べ物系の模擬店をやっているらしい。
丁度、お腹も空いた事だし拓海のクラスに向かうために歩きながら何気なく窓の外に目を向けると校内とは比べものにならないくらい人が犇めき合っていて上から眺めただけでも、少し気分が悪くなった。
あの人混みには入りたくないなと思いながら隣の拓海のクラスを目指す。人混みを避けながら直ぐに拓海のクラスに着いた
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