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仕事も、なんでも普通にこなす。
社会関係も、上手くいってる、
上司の飲み会に付き合ってやったり、後輩の愚痴を聞いてやったり、女性社員にお茶に誘われたり、全部いつも通りにしている。
変わったのは俺の中だけ。
自分の中の半分が減ったみたいな、そんな感じ。
自分自身より好きだった奴が居なくなったんだ、こんなにも辛いのに、俺の周りはいつも通りで…
本当にひとりぼっちみたいな気分だ。
学生んとき、ぼっちになんかなった事なかったのにな…
智也は今頃どうしてるんだろう。
俺が居なくなったの、喜んでるのかな?
それとも、少しは寂しいかな?
少し寂しいけど、平気とか?
それとも「丁度良かった」とか?
8年も一緒にいたのに、俺は智也が何を思ってるのかなんて何も知らない。
もしかして、最初から俺の事好きじゃなかったとかいうオチだったり?
それは…最悪だな。
俺は男だから泣けないし、子供も産めないから、「妊娠した責任取れ」なんて言えねえし。
金渡したら、俺とまたやり直してくれると思うけど…
それか「一番じゃなくてもいいから」とか?
必死すぎだろう。
クソみたいなプライドを捨ててでも一緒に居たいなんて、俺も相当だな。
「ただいまー」
久々に帰った実家は、落ち着く匂いがした。
土っぽい?そんな独特な匂いに包まれて、少し目の裏が熱くなり、ここなら、何も考えないでいい…そう思えて、涙が溢れた。
「おかえ……えぇ!?どうしたの!???」
俺を出迎えた、妹が、泣いてる俺を見て、驚いている。
そりゃ驚くよな。でけえ大人が涙をぽろぽろ流してるんだから。
「お、お母さん!!!ゆうが泣いてる!!」
「おい!!言いふらすな!!」
母さんを呼びに行こうとしてる妹の腕を掴み、ヘッドロックをかましてやった。
「うげぇ、ギブギブ!」
「お前は何も見なかった。いいか?」
「はい、すみませんでした」
こんな風に妹とふざけあうのも久しぶりで、
あぁぁ、泣くなよ、俺。
男は泣いたらみっともない。
「あら、ゆうじゃん。久しぶり」
「姉さんも帰ってたんだ、旦那さんは?」
「喧嘩しましたー」
「あぁ…翔太くんは?」
「翔太も置いてきたー」
「マジかよ、息子置いてくなよ」
「うそうそ、後で来るよ」
そう言い、何処かへ行こうと歩き出した姉さんが、またすぐに止まり、振り向いた。
「そういえば智也くんは?一緒じゃないの?」
そして、改めて智也の存在の大きさに気付いた。
あいつは、俺の家族にも姿を残してる。
俺の家族でさえ、俺と智也はセット、そう思ってる。
ここにいれば、あいつの事を思い出さないで済むと思ったのに、
まるであいつが俺の中にいるかのように、
どこに逃げても、智也がいる。
「智也も…実家に帰った」
「なーんだ、あんたら二人で一つみたいな感じだから」
「………そう」
俺の、顔に出てたのか、姉さんが一瞬キョトンとした顔をして、俺より小さいくせに、背伸びをして俺の頭を撫でた。
俺は弱くないのに、自分を支配しているプライドの線が切れたかのように、泣いた。
「苦しいよ…」
そして始めて、弱音を、吐くことができた。
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