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「で?どう?自分のケーキは美味かった?」
キス…をしてしばらく黙りこんでしまった俺らは、すーっと椅子へ戻り、俺は緩くなったコーヒーの残りを喉に流し込んだ。
「お、おう、美味かった」
そりゃ気まずいだろう。
俺も俺だ、普段なら絶対流されないのに、なんつうの?こう、無意識に!
無意識だったんだ!
そうだ、俺は悪くない。
「堀川は、上手くいってると思ったのにな」
「なにそれ」
俺を、優しい目で見つめながら、優しい声でそう言う。
今更優しくされても、なんともなにのに。
「噂は聞いたよ。入江くんだっけ?
俺より全然いい奴だって言われたよ」
誰だよ、人の噂流した奴。
「まあ、あんたよりは全然長かったけど、最後は同じでしたよ。
またかよって感じ」
「でも、俺の時はそんなに死にそうな姿してなかったよ?」
「そりゃ、あんたより好きだからだよ。あんたが100点満点だったらあいつは100万点ってくらい」
「うわー、なんだろう、地味に傷つく」
元、好きだった奴に今の好きな人の事を喋るのって不思議な感じがする。
あの時は、もう、橘先輩が好きで好きで仕方なかったのにな。
時間って凄いよな。
「入江くん、今頃泣いてると思うよ?すげー後悔してると思う」
「それはないね。あいつ、俺の事どうでもよくなってたし。むしろ今頃新しい彼女と楽しくやってると思うよ」
「そうかな?だったら俺とやり直す?」
「それもないよ。好きじゃない人と付き合いたくないし」
今更口説かれてもなんも感じないし。
別に嫌いじゃないけど、この人と俺はもう終わってる。
そしたら少し悲しそうな顔をしながらこう言った。
「ほんっと生意気。
あのさ……お前、あの時、いつも遠慮してただろ?嫌な事、嫌って言わなかったじゃん。俺が浮気してたの知ってたんだろ?なのになんも言わなかった。
俺が100%悪いのはわかってるけど、お前も、怖がらないで、嫌な事は嫌って言ってれば…」
「…そんなの」
「俺は、今の堀川の方が好きだ。生意気で、思った事をすぐ口にする。俺は今の堀川が可愛くて仕方ない。今すぐより戻したい」
この人は、俺を泣かすのが上手いな。
「あーもう!!橘さんは俺をどうしたいんだよ!」
「あはは、ごめんごめん、可愛くてつい。てかやっと橘さんって呼んでくれた!堀川可愛い!!
入江くんと、もし何処かで会ったら、思ってる事全部言ってやれよ。
んじゃ、帰るか。送るよ。店も午前中までだから」
この人を一発殴ってやろうかと思ったけど、そんな優しい顔で俺を見つめられたら殴るにも殴れなくて…
でも、この人が言ってた事は全部本当の事だから、やっぱり今日、橘さんと会えてよかったと、思った。
堀川side end
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