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中山に肩を叩かれ目を覚ました。
「着いたけど…ここであってる?」
寝起きで、まだ視界がボヤけてる中、車の中も外も真っ暗だ。
でも、なんとなくここが実家って事はわかった。
「ああ…」
「大丈夫?一緒に行ってあげようか?」
正直、一人で家の中に入るのが…怖い。
まだお袋がいるかもしれない…
透が泣いてるかもしれない…
友美も、見てしまったかもしれない…
親の死体を見るのは、とてつもなく怖い。
良い歳して、情けないのはわかってるけど、
『首を吊って』なんて聞いたら、誰もがビビるだろう。
そして、見てしまったら俺は認めないといけない。
お袋が死んだって、認めないといけない…
俺より断然透の方がショックを受けてるに違いなのに…
だって、あいつは見てしまったんだから…
兄の俺が…ビビってはいけない…
「強がんなくていいんだよ。俺が一緒に行ってあげる」
でもそんな俺に中山は優しく笑って…
頭を撫でられた…
撫でられても嬉しくはないけど、少し…ほんの少しだけ心が安らいだ。
今の俺は…ひとりじゃない。
中山の言葉に甘えて、家に一緒に入ってもらう事にした。
「透?」
「智也っ!!」
しーんとした家に入って、弟を呼んだら、真っ青な顔でリビングから出てきた。
弟のこんな顔は初めて見る。
いつも冷静な奴なのに、今は冷静さの欠片も見当たらない。
「もう大丈夫だからな…救急車は?」
「だ…ダメだった……俺っ…」
目に涙を浮かべながら、手が震えてる姿を見て、多分、相当のショックで、電話もできなかったんだなと解った。
「透、友美は?」
「きょ…お泊り…するって…」
「そうか…1人にしてごめんな…」
「うん…っ」
生意気で、俺には懐いてないけど、俺からしたら可愛い弟だ。
もう高校生だけど…こんな状況においては『まだ』高校生だ。
重すぎただろう。
震えてる体を抱き寄せ、兄らしい事なんかできないけど、せめて、少しだけ安心して欲しいと思いながら、俺と背も変わらない体を抱き締めた。
「入江、救急車は俺が呼ぶよ」
「ああ、なんか色々とありがとうな」
「いいのいいの、友達だろう」
『友達』
そんな関係なのかわからないが、今はこいつに感謝しないといけない。
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