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しばらく落ち着こうと、こんな空き地じゃなく、もっと綺麗な場所へ二人で向かった。
綺麗な公園があったので、そこのベンチに二人で腰掛けた。
無言のまま時間が過ぎていって、多分もう30分は経っていると思う。
弟と二人きりになるのなんて凄く久しぶりで、俺もどう接していいかわかんなくて、本当はもっと、透もいつも通り生意気な態度を取ってもらいたいんだけどな…
もじもじして、凄く俺になにか言いたいんだろうけど、こいつも俺と同じ、冷静になってみるとやっぱり、気まずいんだよな…
「タバコ、買ってくる」
「うん」
内心すげーテンパってるから、一旦本格的に落ち着こうと、タバコを買ってくる。
オマケに透には、ジュースでも買っておく。
好みの味とかよくわからないところが、やっぱり俺とあいつは、心が離れてるんだなーと思う。
「お待たせ、このジュース、好き?」
「普通」
普通と言いながら、ちょっと口角が上がってるから、多分俺と味の好みが一緒なんだろう…
やっぱ兄弟なんだな…
「何で知ってるの」
なんで俺が、死のうとしてるの、わかったんだろう。
「あんたが、中山って奴と喋ってるの、聞こえた」
「あー、そうだったんだ」
「あいつ、絶対危ねえ奴だよ」
「そんな事ないよ…いい奴だよ」
「はぁ!?」
そりゃ知り合いに自殺を勧めるのは、危ない奴なんだと思うけど、あいつは俺をわかってくれてやってんだ。しかもゆうも、あいつを信頼してる。
「透はなんで俺をとめたの?嫌いだろ」
中山がいい奴かどうかは俺には関係なくて、俺はそれよりどうして、透が、今ここにいるのかを知りたかった。
今頃、友美と喜んでると思ってたのに…
「嫌いだよ、だってあんたは…俺たちの事を信じてないから」
「は?」
「あんた、自分一人で頑張りすぎなんだよ…」
そして次に聞いた言葉に、心臓をギュゥっと掴まれたような切なさを感じた。
「もっと、俺たちの事、頼ってよ」
そして、自分がした事に今更って程遅く気付いた。
俺は、一人なんかじゃない。
一人になろうとして、一人になってたんだ。
「父さんも母さんも、智也がいるから、楽になろうとしたんだと思うよ。母さんの場合、母親としてどうかと思ったけど、それでも智也にならって…っ」
「うん…わかったよ、ごめんな…」
「わかってねえよ!俺、俺は一度も智也の事、嫌いなんて言ってねえのに!」
「ごめん……」
「なのにっ…あんたは、いつも離れようとしてるし…」
「…ごめっ…」
「誤って欲しくないよ!」
いつも、透はゆうみたいに、少し冷めてるイメージがあったんだけど、本当はそうでもなかったんじゃないかな。
俺が、知ろうとしなかっただけで、実は透も寂しかったんじゃないかな…
こんなに、俺のために必死になってくれて…
「ありがとう…」
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