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「物音がするんだよ」
今すぐ目の前のドアを蹴り壊して中に入っていきたいが、俺の前にいる橘さんがあまりにも冷静で、感情を抑える。
ノックもインターホンも鳴らさず、先にとに耳を傾け、そう言った。
俺も扉に耳を傾け、目を閉じ、全神経を集中させてみれば、確かになにかゴソゴソ話し声が聞こえた。
間違えなくゆうはここにいると確信できた瞬間だった。
「勘違いでドアをぶっ壊したら後々大変だから」
そんな発言にさえ、俺との違いを見せつけられたようで、感心するより逆に不快感を覚えてしまう。
「入江が行け」
そう背中を押され、俺は激しくドアを叩きながら中山の名前を何度も叫んだ。
「おい!!!!いるんだろう!!開けろ!!」
中から声がしたのは確かだ、ここに中山はいる。
それでも中々出てこないのは、やっぱりゆうがいるからだろう。
ーーーガチャ
「中山!!」
「いらっしゃい」
「てめぇ!!!!………えっ」
しばらくして、中山が出てきた。
そして彼の姿につい固まってしまった。
彼には、4日前に会ったばかりなのに…
人間、こんな短時間にこんなに変われるものなのか?
目の前にいる中山は、まるで別人かのように、痩せ切って、目元のクマが酷く、顔色も不健康に青っぽくて、ギタギタに破れたシャツとジーパン…腕には…何故か傷跡が沢山あった…
目を逸らそうと、部屋の中に視線をやったら、まだ午前中なのに真っ暗で、中から嫌な臭いがする…
「おっと、お客さんが二人もいるんだね」
「お前…」
「中に入られちゃ困るんだよね…」
「入江、中に入れ、話にならない」
「あ、うん」
中山を思い切り押しどけたら、その体の軽さに驚いた。ドスンっとあっという間に倒れて、少し心配になったが、中山より俺はゆうの事で頭がいっぱいで、靴も脱がずに中へ走る。
「ゆう!」
感がゆうは寝部屋にいると言っている…
そして、一番奥の部屋の扉を開けた瞬間、
目に見えた光景に体が崩れ落ちるような感覚に囚われた。
「……ゆう?」
「あーあ、見つかっちゃった」
「堀川!!?」
そこには…
全身が痣だらけな、裸のまま死んだように横たわってるゆうが…いた。
「ゆう!!」
走ってゆうの横に跪き、優しく頬を撫でるように触れた。
そしてそれにビクっと反応し、ゆうの目が開いた。だが、その目にはなにも写ってなくて…
でも気のせいか、俺の手に擦りつくよう顔をこちらに向けて、再び目を閉じた。
「あははっ、ゆうき死んじゃった?」
「てめえは黙ってろ!」
「ぐっ…」
後ろから、縁起でもない事を言われ、カッとなったが、俺より先に橘さんがそいつを殴ったのが聞こえた。
「ゆう…遅くなってごめんな…」
久しぶりに抱きしめたゆうの体は、ガッチリとした筋肉も、重みも、暖かさもなくなっていたが、それでも小さく息をしてるのが感じ取れて、安心感から涙がひとつ、零れた。
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