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待ちに待った土曜日。
部活へ行かずに朝から南の家へ行きたいと言ったが休まずに行く様に言われて渋々賀川は部活へ出た。
「おはようございます」
部室へ入ると中はどんよりとした空気で包まれていて近くにいた佐々木に声をかけた。
「どうしたんですか?」
「かがわぁぁぁぁ。今日は休みだわ」
「は?」
「顧問の嫁さんが産気づいて立ち会うから今日の部活は休みだとよ!舐めてるぜ」
早起きしたのにとかやりたい事あったのにとか皆は騒いでいたが賀川は心の中でガッツポーズをしていた。
先輩のとこ行けるじゃん!
「じゃあ、お疲れ様でしたー」
浮足立って踵を返し、賀川は部室を出ようとした。
その時、制服の裾を思い切り引っ張られた。
「うわぁっ!」
振り返るとそこにはニッコリ笑う二年生の先輩の吉田がいた。
「ちょいと待ちなさい。賀川君」
「なんですか?」
嫌な予感に笑顔が引き攣る。
吉田はニヤッと笑って賀川の肩を組んで引き寄せた。
「ちょっとナンパするから顔貸してくんねーか?」
「えぇ!!俺が?」
「そう!お前!女の子声かけてオッケーもらえたら帰っていいから」
「嫌ですよ!」
「先輩命令」
「無理ですって!俺、ナンパした事ないですから」
「じゃあ、人生初体験行こう」
陽気に右手を天へ指差し賀川を引きずる吉田に佐々木が俺も俺もと付いてきた。
「ちょっと!!本当無理ですって!俺、恋人いますから」
叫ぶ賀川に佐々木がニンマリ笑う。
「もしかして、南?」
図星を指され賀川は一瞬真顔になる。
「俺も吉田もその辺は偏見ないから大丈夫!」
「そうそう。お前ら付き合ってても俺には関係ないし!ってか、南の彼氏なら何かと使いやすいし万々歳だし」
「ちょっとは幸せのお裾分けしろ!俺達も恋人欲しいわっ!」
好き勝手言う二人に賀川はこめかみを押さえてため息をついた。
「俺、これから南先輩と約束あるんです」
「おぅ!女の子ひっかけてさっさと南のとこ行け行け!」
「そうだ、そうだ!南のとこへ行きたかったら女の子ひっかけろ!」
もう、断れる雰囲気ではないと実感して賀川は観念した。
ナンパをするのは癪に触るし南を想うと乗り気ではないがさっさと済ませると南に会えると思うと少しやる気が出た。
後で事の事情を話せば南なら分かってくれるだろうと賀川は重い足取りで二人に連れて行かれた。
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