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傷口には消毒液を。
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シーンと静まり返った路地裏で、俺たちが立っている。
遠くから、明るい声や、楽しそうな声が聞こえてくる。
あぁ、何でこんなに、自分だけ、不幸なんだろう。
そう考えたことは、何回あったか。
もう、そう思うのも面倒になるくらい、思ったよ。
何で、俺なの?ってことも思ったし、
俺、悪いことしたっけな?ってことも思った。
自分、一人が不幸なわけじゃない。
俺より、不幸な人も沢山いる。
でも、俺より、幸せな人も沢山いる。
そんなことを考えてるから、なかなか前に進めないんだ。
これ以上傷つきたくない。
これ以上、誰かに必要とされていないなんて知りたくない、思いたくない。
これ以上………
人を愛したくはない…
人を愛したら、結局、終わりがある。
傷ついてしまう。
そんなことなら、いっそのこと、愛なんて知らない方がましだ。
愛がない世界と、愛を知らない世界、どっちがましだろうか。
それよりは、愛を知っている、愛がある世界の方が、いいって言う人もいるかもね。
でも、その人は、大切な人を失ったとき、大切な人から、拒絶されたとき、どんなことを思うんだろうね……?
俺の世界は止まったまま。
誰かが動かしてくれるなんて思ってもない。
だから、どうか、今日だけでいいんだ。
自分で、自分の世界、動かしてやろうって思ったんだ。
そして、俺は、口にする。
「あのね………
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