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さみしい。②
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「ただいま。」
返事はなく、家の中はとても静かでテレビの音すら聞こえない。
…近場のコンビニまで車で約3分。
往復6分…買い物時間の5分…、移動諸々合わせて計13分と言ったところか。
3分遅れだな。
拗ねてしまったのだろうか…
「彼方?」
廊下を進み声を掛ける。
リビングに出るとソファの上で丸まった彼方の姿が。
おいおい、急がせといて自分は寝てんのかよ…
まったく…我が儘なお姫様だこと
「こんなところで寝たら風邪引くぞ…?」
隣の部屋から薄手の毛布を一枚持ってきて彼方に掛けてやる。
俺を待っていてそのまま寝てしまったのだろう。
無理しないでベッドで寝てればいいものを…
何だかんだ言って健気なやつだ。
ソファに腰掛け隣で眠る彼方の頭を撫でる。
手触りのいい髪が指の間をするすると通り抜けていった。
ここのところ、彼方は学校行事にバイトのヘルプ、更に勉強と色々と忙しそうにしていた。
それで無理が祟ったのだろう、綺麗な顔には似つかわしくない口端にできたヘルペスがとても痛々しい。
(疲れて体調崩してたら元もこもないだろうが…)
くすぐったかったのだろうか。
少し身動ぎ怪訝な表情をする彼方に、クスリと自然に笑みが零れる。
彼方が起きたら彼方の好きなコーンクリームを作ってやろう。
そしてとびきり甘やかしてやろう。
(お前はよく頑張ったよ。)
俺は最後にもう一度頭を撫で、触れるだけのキスをしてリビングを出た。
「お疲れ様…、お休み…彼方。」
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