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素直じゃないけど。
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俺、日向明日香には恋人がいる。
そしてその恋人というのは……
「オッサン、腹減った。」
この
金髪、ピアス、マスクに着崩した制服の見た目ヤンキー
永井彼方 高校2年生(男)である。
今は学校&会社からの帰り道。
仕事も粗方片付き、残りは自宅でも出来るものだったので、俺はたまには平日にも会っておこうかと思い、家まで送ろうと彼方を迎えに行ってやった。
「知らん。それから俺はオッサンじゃねぇ、お兄さんだ。」
「俺16歳、アンタ25歳、9歳違えば俺から見たらもう立派なオッサンだろ。」
「テメェ……」
そしてコイツはツン9割、デレ1割のほぼツンツンのツンデレだ。
超可愛くねぇ…
「それより俺腹減ったんだってば、どっか寄ろうぜ。」
「ヤダネ。持ち帰りの仕事もあるし、俺は今金欠なんだ。腹が減ったんなら寄り道しないでお家に帰れクソガキ。」
「…………。」
何だ?急に黙りやがって…?
どうかしたのかと隣を見ると彼方の眉間に皺が寄っていた。
…これは彼方が拗ねたときの癖のようなもの。
は?何で拗ねてんの?
「…俺は………」
「?何だよ…?」
またしても喋らなくなる彼方。
「………もういい、一人で帰る。」
「あ゛?どうしたんだよ急に?」
「うるせぇオッサン。しね!」
「は?ちょ、おい!!」
捨て台詞を残して早足で帰っていく彼方を、俺はただ呆然と見送っていた。
「意味わかんねぇ……??」
ーーー「って事があったんだよ。」
翌日。
俺は昼休憩中に同僚兼幼馴染みの秀一に昨日の出来事を相談していた。
「そりゃあお前が悪いな。」
は?俺?
「俺何か変なこと言ったか?拗ねられるようなこと何もしてねぇぞ?」
「いやいや、たぶんその子お前と一緒に居たかったんだろ?」
そう言って長谷部がコーヒーを啜る。
どういうことだよ?と訊くと
「お前ホントに鈍いな…。お前らって週末位しか会えないわけだろ?」
「まぁな。俺は仕事があるし、アイツは学生だし。」
「それに下手すると、仕事が延びて週末も会えない日もあるわけだ。」
「まぁそうだな。」
「つまりだ、」と長谷部が続ける。
「週末にしか会えない恋人と珍しく平日に会えたのに、デートに誘ったらお家に帰れと断られたから、拗ねたんだよ。」
デート?
「ちょっと待て、俺はデートに誘われた覚えはねぇぞ。」
俺もコーヒーを片手に、昨日の事を思い返す。
「お前マジで言ってんの?ご飯行こうって言われたんだろ?」
「でもあれはなぁ…。」
ご飯行こうっていうか、腹減ったっつって言われただけだぞ?
あんな乱暴な誘い方あんのかよ。
彼方さんよ、いささかツンツンし過ぎじゃなかろうか?
「とにかく、」
長谷部はコーヒーを手に席から立ち、
「ちゃんとお前の方から謝っとけよ。若い子はすぐ気が変わるから、その内捨てられちまうかもしれないぞ。」
と言い残し何処かへと行ってしまった。
「んなこと言われてもな…」
(謝ろうにも、連絡が取れないんじゃどうしようもないだろう。)
あれから俺は何度か電話やメールをしてみた。
が、どれだけ待っても返事は来ず、俺の携帯からは空しいコール音のみが流れた。
あのクソガキ、絶対電源ごと切ってやがるな…。
「ん~~…どうしたもんか……。」
俺はカップに残っていた冷めたコーヒーを一気に飲み干した。
「まず…。」
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