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恥じらいなんて捨ててしまえ
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小学校の頃、東雲裕希は一人同年代の好みよりも難しい本を読むようなタイプだった。
イケメンだが、近寄りがたいイメージがあったのだろう。彼も好んで輪には入ることはしなかったから尚更だ。
そんな彼に放課後、俺は声をかけた。
「しののめくんって雲みたいだね!」
あの頃の俺はどうしたんだろうな。よく分からない質問ばかりしていたと思う。
その質問に彼はふわり、と微笑んで答えた。
「君はわたあめみたいだね」
小学校低学年のこと。俺はとにかく東雲、東雲、煩く言っていた思う。分からないことは何でも聞いた。
好きな食べ物とか好きな色とか
そして東雲はその質問に必ず優しく笑って答えたのだ。
嘘をついていたが。
「東雲くん!東雲くん!」
「なに?」
「東雲くんとおれは親友?」
「……うん、親友だよ。椿」
正反対の俺達が親友になったのは、小学校を卒業する頃だった。
「椿、まだ俺を親友だって思ってる?」
ふわり、と彼は微笑んだ。
「……もう、一人の男としてみてよ」
そう呟いていたことなど、俺は知らなかった。
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