アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
②
-
腕を思いっきり引っ張られて、僕はバランスを保てなくなり尻餅をつく。
衝撃でまぶたを閉じてしまっていたから、目をあけて顔を上げると静かに僕を見下ろす君がいる。
「ねえ、さっきのはなあに?」
微笑んでいるはずなのに、恐怖しか感じないのは君の目が笑っていないからだ。
「……っ」
間違っても君の反応を見るため、なんて言える訳がない。言ったその瞬間僕は殺されるだろう。
恐怖で思わず体が後退した。それに気付いた君は開いた距離を埋めるようにこちらに向かう。
後退する、距離を埋められる、を繰り返しとうとう僕の背中は壁に当たってしまった。
「どうして逃げているの?
で、さっきのはなに?」
壁に僕を追い詰めた君はしゃがんで僕の目線の高さと同じ位置にいる。
答えられずに、沈黙が続く。
何も喋らずにいる君をちらっと見て、背筋が凍った。今まで見たことがない冷たい顔をした君がいたから。
普段の君からなら到底想像出来ない。付き合う前から今までずっと、君は怒ったことがないし、口調はいつも優しく丁寧で、こんな冷たい表情をするなんてことはなかった。
空気が変わった気がした。
君の瞳が僕を捕らえた。
君の口が開く。
「お前、さ」
僕はずっと龍って呼ばれていて、どんなときだってお前、なんて呼ばれたことなんかなくて、だから本気で怒っていることが分かってすくみ上がる。
「ヤり殺されてえの?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 12