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④おまけ
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ガラッ!!
それより一足先にドアが開いた。
まず、矢沢の姿が見えてその後ろから覗き込むような凪の姿が確認できた。
『ほら、な?』
『に、兄ちゃん!!』
安心したように、今にも泣きそうな凪が教室に入ってきて飯沼に抱きつく。
『な、凪?どうした?どっか痛いのか?』
飯沼は抱きつく凪の二の腕を掴んで引き離し、顔をのぞき込んで無事を確認している。
『兄ちゃ...お、俺...』
騒がしかった教室は、今や誰1人言葉を発しない。皆、凪の動向に注目している。
『凪?』
『あ、佑汰くん』
凪は不安そうな表情だったけど俺を見ると少し笑ってくれた。
『...矢沢。お前、凪に何したの?』
温厚な飯沼からは今まで聞いた事も無いほどの低い声。凪の体がピクンと跳ねる。
『なんもしてな...いや、した』
『どっちだよ?!』
『ち、違うの、兄ちゃん!俺、何もされて...ない、よ?』
飯沼のいつもと違う様子に驚いた凪は慌てて言葉を紡ぐけど、その顔はあっという間に真っ赤に染まった。
『...凪?』
首を傾げる飯沼は、凪と矢沢を交互に見やる。
『兄ちゃんって呼んでるの?』
飄々とした矢沢の問いかけに、凪は小さく頷く。
『くそ可愛いな』
『.......はい?』
『っ、そ、そんな...』
凪はますます顔を赤くして。
それを矢沢は優しい顔で見つめてて。
『え?何、これ。ちょ、後藤!出番だよ!聞いてよ!』
『は?いや、なんか、え?俺?』
鹿島と後藤のやり取りでようやくいつもの調子が戻ってきて。
『...佐伯?』
佐伯は頭をポリポリ掻きながら、あー、と気のない返事をした。
みんなを見ると、佐伯と同じような反応。
鹿島と後藤以外。
『飯沼』
険しい表情をしていた飯沼も、眉間のシワをどうしていいのか分からないような きょとん顔になっている。
矢沢の呼びかけに、飯沼は顔を上げた。
そして...声にならない声を上げた。
矢沢が飯沼に向かって土下座したのだ。
『飯沼!!弟さんを俺に下さいっ!!』
『...っ!!??』
『やざ...勇吾さん!!』
驚き大きな目を見開く凪。両手の指先で口元を押さえ、矢沢を...下の名前で呼んだ。
『え?矢沢、勇吾って名前なの?』
驚きのあまり、飯沼はすっとんきょうな事を口走る。
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