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見えない瞳
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ハロの言葉に、瞬間、唖然としてしまう。
ぽかんと口を開けてしまった。
なんで、2人だと…わかった?
ハロは、目元を包帯で隠している。
たぶん、ハロの目は、見えていないのだろう。
僕たちは声も発していないのに、ハロはそう言ったのだ。
「違い…ますか?」
僕たちが唖然と黙り込んでいると、ハロは、少し不安そうに言葉を紡いだ。
ふっと意識を引き戻され、立ち上がる。
「いや、合っているよ」
そっと、ハロに近寄った。
目が見えないのなら、呼び寄せるより、連れて来た方が、手っ取り早い。
ハロの手を掴もうと、伸ばした僕の腕。
ハロは見えているかのように、僕の手の中に自分の手首を埋めた。
「見えて…、いるの?」
思わず、問いかけた。
「いえ。全く見えません。生まれつきです」
空いている手で目元の包帯に触れ、ハロは、口角を上げ、ゆっくりと笑みを作った。
ハロの手を引き、華亥と僕の間に挟むように、ベッドへと座らせた。
華亥が、左側からハロの腰に腕を回す。
両腕で、きゅっと抱き寄せ、華亥は、ハロの耳を食んだ。
「ふふっ…」
ハロは、擽ったそうに首を竦めた。
瞳は見えなくとも、ハロが笑っているのは、わかる。
ハロの口角は、終始、上を向いている。
「お名前を…、教えては頂けませんか?」
腰を抱く華亥の腕に触れながら、少しだけ熱の籠る声で、ハロが呟いた。
首を捻る僕に、微かに顔を回し、ハロは見えない瞳を僕に向ける。
華亥は、ずっと、ハロの左耳を唇で食み続けている。
「顔を見て覚えることが出来ないので、せめて、お名前を聞いて覚えたいんです…」
包帯の上のハロの眉が、八の字に歪んだ。
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