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臆病者は耳を塞ぐ
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″嫌い″
そう紡がれることが怖くて、俺は、お前の音を奪った。
刺すような瞳で見るのなら、その光すら奪ってしまいたい。
でも、音も光も奪ってしまったら、お前はもっと俺から離れていくのだろう。
そんな狂気な自分が怖くて、お前を抱けなくなった。
どうしたら、傍に居てくれる?
どうしたら、愛してくれる?
……手に入らない想いを求めて、俺は、お前を壊していく。
ハロの中で交わった感触は、たまらない歓喜を、もたらした。
ハロの中でなら、俺と兎羅は、交われた。
昂る感覚を忘れたくなくて、俺は、何度も交わった。
ハロの身体など、どうでも良かった。
ハロが壊れてしまおうと、俺は、どうでも良かった。
最後には、ただ、兎羅と繋がりたいという想いだけが残っていた。
俺たちの架橋であるハロを、兎羅は放とうとしていた。
怒りが胸を染め上げた。
そんなに俺が嫌いか?
そんなに俺が憎いか?
そんなに俺と……、交わりたく、ないのか?
怖かった。
お前に否定されるのが、怖かった。
ハロに否定されたところで、俺の心は痛まない。
でも、お前に否定されるのは、許せない。
「そうだよ! 俺が、お前の声を奪ったんだ! お前の声など聞きたくない!」
俺は耳を塞ぎ、しゃがみ込んだ。
放った声は、力なく地面に落ちていく。
「怖いんだっ! お前に否定されるのが…お前に拒絶されるのが怖いんだよ!」
身体が震えていた。
『兄さんは…、バカだっ』
喉を潰してから聞いたコトの無かった兎羅の声が、俺の鼓膜を震わせた。
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