アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
零れた心
-
琉と僕に抱かれ、日に日に弱っていくハロに、僕は不安になる。
死んでしまったら、ハロが兄さんの中に残ってしまう……。
何時しか、放せなくなっていた。
兄さんも、僕も…、ハロを放てない。
ハロが居れば、繋がれるから。
兄さんと僕も、ひとつになれたから。
でも、やっぱり。取られたくない。
僕は、兄さんを取られたくない。
ハロの為に、″逃がしてあげる″なんて言ったけど。
兄さんを取られたく、なかっただけ。
ハロを殺してしまう前に。
ハロを壊してしまう前に。
ハロを壊してしまったら、ハロが兄さんの心の中に残ってしまう……。
『このままじゃハロは死んでしまいます。助けに来て下さい』
窶れていくハロの姿を写したものを添付し、施設に救いの手を求めた。
主も奴隷も介入しない【R】の手続き。
それでも、施設側は、了承してくれた。
ハロに飲ませた薬は、単なる睡眠薬。
ハロはただ、深く眠っていただけ。
ハロに暴れられても面倒だった。
もうそんな体力は、なかったかもしれない。
でも、何が起こるか、わからない。
起きないハロの姿に、兄さんが諦めてくれればとも、思っていた。
弱り動けないハロに、兄さんは、現状を飲み込むしかないと思った。
こんなに執着を見せるとは、思わなかった。
兄さんは、ハロの方が大事……なの?
哀しみに埋め尽くされそうになる胸に、兄さんが言葉を放った。
「怖いんだっ! お前に否定されるのが…お前に拒絶されるのが怖いんだよ!」
震える身体を縮こまらせ、兄さんは、小さく心を吐露していた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 104