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黒いオーバーオール
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東側玄関で待つ僕たちの前に、ハロの姿が見えた。
黒マスクに手を引かれ歩くハロは、きょろきょろと辺りの空気を探る。
僕たちがハロに用意したのは、赤い長袖シャツに、黒のオーバーオール。
少し子供っぽいかと思ったが、ハロには、凄く似合っていた。
「ハロ」
名を呼ぶ僕の声に、ハロの顔に笑みが広がる。
黒マスクに繋がれている手を放ち、こちらへと駆けてきた。
走る勢いそのままに、僕の胸元へ、ぼふっと埋まる。
「ははっ……」
思わず、笑みが零れた。
僕の胸に埋まるハロの髪を優しく梳く。
「騎亥様……」
ふふっと嬉しそうに笑ったハロは、顔を上げ、笑みを零す。
ふと何かに気付いたように、ハロは、顔を振った。
たぶん、華亥を探しているのだろう。
ちらりと斜め後ろを振り返った。
そっと近寄った華亥は、ハロの頬を指で突く。
その感触に、ハロは、ははっと小さく声を零した。
「華亥様っ」
頬を突く指先に、ふわっと手を乗せたハロは、ふふっと嬉しそうに笑う。
『ハロのコト、よろしくお願いします』
近づいてきた黒マスクが、カードを差し出し、緩やかに僕たちにお辞儀をした。
僕は、ゆっくりと笑みを作り、頷いて見せた。
僕から離れたハロが、言葉を紡ぐ。
「見て下さい……、ぁ…」
脚の刻印を見せようとしたハロは、そこを覆うオーバーオールに、残念そうに声を漏らす。
「あとで、ゆっくり見せてよ」
華亥の手が、ハロの頭をわしゃわしゃと撫ぜた。
「はいっ」
にっこりと笑ったハロの手を取り、玄関を出ようとした。
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