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再会
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さて、肝心のジョンソンは、というと…
〈かなり取り乱して〉いるらしく、研究所内の計器類が、狂ったような動きを繰り返していた。
「駄目だな…もう、いくら調整しても、今日は仕事になりそうもない。落ち着くまで待つしかないか。」
溜め息混じりに研究員たちが立ち去る中、俺は一人、ジョンソンのいる専用室の前に立った。
「ジョンソン。俺が判るか?」
ガラス越しに呼び掛けると
『あぁ。一体誰がこんなことを…』
ジョンソンの暗い声が響き渡り、所内の電灯が、忙しなく明滅し始めた。
「いいか、ジョンソン。落ち着いてよく聞け。こうなったのは、誰のせいでもない。」
「しかし、ダニー。私がしくじったせいで、こんな事態を引き起こしてしまった。もっと私がしっかりしていれば…。」
「いや、あの一件は、全てが予測不能だった。そして、俺はその渦中にいた筈なのに無傷で戻ったんだ。それをこの国が見逃してくれる訳がない。そうだろう?」
「私はこんな身体で。しかも、到着時の苦痛や混乱からあらゆるデータや機器を取り込んでしまったのです。どのみち、もうここでしか、生きられません。」
分厚いガラスの向こう
ジョンソンは悔しげに口を手に当てた。
「しかし、あなたは違う!明日、所長と話をしてみます。そして、時空研究の試算には私一人が居れば、充分だということを証明してみせましょう。そうすれば、彼らもきっと…。」
「ジョンソン。いや、マーク。俺達はチームだ。昔も、そして今もな。」
「ダニエル…?」
「仮にも俺は隊長だったオトコだ。部下のおまえ一人に全部背負わせて、ハイさよならなんて、そんなことは出来ない。」
「…ですが、ダニー!」
潤んだ瞳で、ジョンソンが俺を見つめた。
「それにしても、アレだな。…また思い切りよく、男前を台無しにしたもんだ。」
「み、見苦しくて、申し訳ありません。」
途端に目の前のガラスが白く曇った。
「いや、冗談だ。気にするな。」
「…いえ。こうなって以来、そんな指摘を誰にもされたことが無かったものですから。すっかり失念していました。」
「誰にも?じゃあ、おまえはスミスに会っていないのか…?」
「隊長!!スミスとどちらでお会いになったのですか!?」
「軍の訓練棟の前だった。なんだ。それがどうかしたのか?」
「一体なぜ、あのスミスが、生きていられたのですっ!?私の記憶によれば、彼は真っ先に…」
ジョンソンの声が震えていた。
―そうだった。
あの閃光を受けた瞬間、遠ざかって行ったスミスの絶叫を俺も聴いていた。
そして、もはや生きてはいまいと確信した。
「では、アレは一体…誰なんだ?」
「わかりません。ですが、もしかしたら…
〈彼〉がスミスに成りすましているのかもしれません。」
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