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いち。
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「〜〜〜っ!!」
もう、我慢の限界だ……。
兎代は苛立たしげに受話器を取り、相手の声を聞かず怒鳴るように叫んだ。
「はい、もしもし!!今度はセールスですか!?それとも詐欺ですか!?」
どうせまた、しょうもねぇ勧誘か詐欺なんだろ!?
身構えてながら相手の様子を伺う。
そして受話器の向こうから聞こえてきたのは、渋みのある上品な声だった。
「お久しぶりです兎代様。」
「あ……れ……?」
長年聞き慣れているその声に、
兎代は拍子抜けしてしまう。
「滝沢でございます。元気にしておられますか?」
電話の相手は、自分の家に仕えてくれているお爺ちゃん執事 滝沢だった。
滝沢だと分かると、兎代は表情を一変させて気まずそうに喋る。
「あ……滝沢?ああ、うん。元気だよ。
ごめん、完全に違う奴と勘違いしてた。」
「何か用?」と兎代が言葉を投げかける。
滝沢は小さく笑い声を零すと、内容を簡潔的に喋り始めた。
「はい。実は旦那様から兎代様宛てに、伝言を預かっております。
明日の夕方。学業が終わり次第、伊月様と共に本家へ来るようにとの仰せです。」
その言葉に兎代は眉を顰めた。
約2週間前、
兎代は伊月との喧嘩で実家に帰っていた。
彼の父親である龍彦(たつひこ)の仲介おかげで、伊月と兎代は無事に仲直りできたのだ。
そして兎代達が去る直前に、龍彦は妙なことを言っていた。
"また近いうちに呼ぶと思うから、
その時はよろしくね"
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