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ハッと、兎代の口から息が零れ落ちる。
ーーーそれが今ってことか。
「……分かった。
伊月には俺から伝えておく。」
「よろしくお願いいたします。」
滝沢といくつかの言葉を交えて、兎代は受話器を下ろした。
伊月がキッチンから料理を持ってきて、兎代の顔を見た瞬間、首を傾げる。
「若様?
……どうかなさいました?」
「……父さんが明日、実家に寄れってさ。
ったく、あの人は何考えてんだか俺にはさっぱり分かんねぇよ。」
「………………。」
「あーあ!とりあえず腹減ったー。
伊月、今日の飯なに?」
兎代がそう言うと、彼は真剣な顔から一転、ニコリと笑って両手の料理を掲げる。
「今日は若様の大好物、肉じゃがと人参のきんぴらです。」
「おぉーー!!」
「これ好きなんだよなぁー。」と料理に見入っている兎代を他所に、伊月は笑みを無くした。
冷静な表情で何かを考えるように、彼は自分の顎に手を添える。
やがて何かを察知したように、伊月は視線を電話の方へ向けた。
「伊月?」
兎代の不思議そうな声に、意識を戻す。
「そういえば、ご飯よそってないですよね。
若様は大盛りですか?」
「おう!大盛りで頼む!」
「分かりました。ではその間に、若様は箸を取ってきてくださいねー。」
「んーー。」
そして何事もなかったように、伊月はいつもの表情でキッチンに向かったのであった。
ーーーーーー
ーーー
「やぁ、約2週間ぶりだね兎代。それに楓くん。」
「本当に宣言通り、すぐ俺たちを呼んだな。」
いつもの書斎で、俺は目の前にいる父親を見る。
(相変わらず心が読めない人だ。)
「まぁ、座りなよ。」
そう言って龍彦はニコニコ笑いながら、革張りのソファに兎代を促した。
伊月は彼の斜め後ろに立ち、2人の様子を大人しく見守っている。
2人が定位置についた所を確認すると、龍彦は向かい側にあるソファに座った。
そしていつも浮かべていた笑みを消し、いきなり真剣な顔になる。
「……兎代。これから僕はこの家に関わる重大な"秘密"を、お前に話す。
だから真剣に聞いて欲しいんだ。」
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