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まるで博物館に展示されていそうな古い円盤の欠片。
ジッと"ソレ"を見つめていると、青銅の丸い溝に黒いシミが出来ているのが分かった。
(これは…墨、なのか…?)
「"ソレ"は元々1つの円盤でね、"コレ"の他に11個の欠片が存在するんだ。」
「これを見て欲しい。」と龍彦は、ある1冊の本を見せた。
それは和綴じされた古い書物。
捲られたページを見ると、そこには筆で円形に並べられた文字と絵柄がある。
そしてその円の中心には、
太い文字でこう書かれていた。
「十二支(じゅうにし)………。」
その文字を囲む漢字は全て一文字。
"子"、"丑"、"寅"、"卯"、"辰"、"巳"
"午"、"未"、"申"、"酉"、"戌"、"亥"………。
「これ、全部干支じゃねぇのか……。」
「そうだよ。」
龍彦は書物に視線を移し、その書かれている内容をなぞるように触れた。
「これは絶大なる運気を秘めた十二の文字。
これを名として受け継いだ者には、莫大なる富と名誉が約束される……。」
龍彦はゆっくりと顔を上げ、
廃色の眼差しに兎代を映した。
「その文字の総称は、十二支(じゅうにし)。
そしてこれを受け継いだ者は、単体で干支(エト)という名で呼ばれている。」
揺らぎのない真っ直ぐとした瞳。
それは今放った言葉が、明らかに冗談ではないことを意味していた。
「………兎代。
お前もこの名を受け継いだ1人の人間なんだよ。」
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