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きゅう。
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「はじめまして。兎代さん。」
兎代達と視線を合わせると、小さな少女はニコリと笑みを浮かべた。
彼女が身に付けているのは、
明らかに有名な女学院の制服。
対する黒髪の女性は、
白のワイシャツと黒のスーツを着込んでいた。
「私は掛川家当主である掛川清流(せいりゅう)の娘、名を寧々(ねね)と申します。
どうぞお見知りおきを。」
その後、彼らに向かって丁寧なお辞儀をする。
「そして後ろにいるのは、私の付き人 熱月春真(あつづき はるま)です。」
寧々という少女が黒髪の女性、春真を紹介した。
春真はキッチリとした姿勢で兎代達にお辞儀をする。
そして背を上げようとした瞬間、
春真は伊月を見た。
ーーー好奇心より、睨みに近いその視線。
それはまるでスローモーションのように流れた。
「……………。」
だが伊月には全く興味がなく、その視線を合わせようとはしない。
自己紹介が終わった後、寧々はスクールバックの中から何かを取り出した。
それは兎代達と同じ円盤の欠片と古い紙。
「っ!!それは……。」
「はい。
事前に龍彦さんから聞いているかもしれませんが、私もあなたと同じ十二支の1人です。」
彼女は古い紙を開き、自分の本当の名を明かした。
「受け継いだのは、十二支の中で1番目に位置する"子(ねずみ)"。本来の名は、子に音と書いて"子音(ねね)"と読みます。」
寧々は紙から兎代に視線を移す。
「今日は貴方のお父様にお願いされて、こちらに参りました。
お互い名を継いだ者同士、よろしくお願いしますね。」
あどけない笑顔の後、
兎代の前に色白で細い彼女の手が差し出された。
「……よ、よろしく……。」
いきなり差し出された手に、兎代は反動で握り返してしまう。
ガシリッ!!
「っ!?」
しかしその瞬間、
彼女の両手が兎代の手を力強く握りしめた。
突然の行動に、兎代は驚く。
ギギ……
ギギギギ……
「……時に兎代さん。
いきなりで大変申し訳ないんですけど、
……私の頼み……聞いていただけませんか…?」
「……は?」
兎代の顔に大量の冷や汗。
(……なにこの子。
いきなりすぎて、めちゃくちゃ怖い。)
兎代が盛大に引いている中、
寧々はものすごく必死な顔でその願いを申し出る。
「お願いします………。
私を貴方の婚約者候補にしてください!」
彼女がそう言った瞬間、
その場が一気に静まり返った。
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