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じゅうさん。
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「なんでそんな事になるんだよ!?無理だろ!!男2人の家に女が一緒に住むのは!!」
「なんでですか?」
「俺達は男だぞ!?万が一何かあったら、どうすんだよ!!」
「あぁ!」と、寧々は閃いたようにポンッと手のひらに拳を乗っける。
「大丈夫ですよ〜。私には春真がいますし!
春真はこう見えてとっても強いんですよ!」
生き生きと拳がついた腕を曲げ、自慢げに話す寧々。
それを見て、兎代は呆れたため息を吐いた。
「だから、そうじゃなくて……!!
「俺は別にいいですよ?1週間だけなら。」
すると後ろから、伊月が楽しげに賛成する。
「はぁっ!?何言ってんだよ伊月!!」
驚いて後ろを振り向けば、彼は普通にニコニコと笑っていた。
「だって俺はお二人をそうゆう対象としてみる事はありませんし。
もし若様がお二人のどちらかを襲おうとするものなら、俺が全力で防ぎます。
それならいいでしょう?」
「う………。」
「そうですよ!そうですよ!」
「……っ、」
「若様。」
「兎代さん。」
「〜〜〜〜っ!」
2人の圧倒的な気迫に押されて、
兎代は何も言うことができない。
春真はその様子を冷静に見守っているだけだった。
全体的に見て、龍彦が仕切るように掌を合わせる。
「じゃ、お互い反論は無いという事で。」
「クッ……!」
悔しげにする兎代を側に、寧々は子供らしく両手を広げて喜んでいた。
ある程度話にまとまりがついた所で、龍彦は寧々に詳細を訊ねる。
「……で?泊まる日はいつにするの?」
「あぁ!それはですねーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
「……………。」
兎代は今、愕然としている……。
目の前にあるのは大きなボストンバッグと……
トランク、
トランク、
トランクッ!!
彼らの家に置かれた大量のお泊まり用具に、兎代は額に手を当てた。
「えへ、お邪魔します。」
「…………っ、…。」
(お試し期間って今日からかよっ!!)
心の中で盛大にツッコミを入れる兎代。
寧々はキョロキョロと慣れない雰囲気で部屋を見ていた。
それに続いて春真がリビングに入ってきて、自分達の荷物の整理をしている。
(……簡単に了承するんじゃなかった……。)
後悔の念を漂わせていると、寧々はリビングのデザインを見て感嘆と息を吐いた。
「これがマンション……。
とても良いお家だね。中をあまり見たこと無かったから不安だったけど、少し安心。」
「……そうかよ。」
(俺はすっげぇ不安だけどな…!!)
心の中で悪態をついていると、春真が兎代に話しかけてきた。
「兎代様。」
初めて聞く彼女の声に、兎代はちょっとビビる。
「……この大量の荷物をリビングに置いておくのは、少々気が引けます。
失礼ですが、私たちが使用する部屋を先に案内してもらって宜しいでしょうか?」
だがその声はとても凛々しくて、顔の雰囲気にぴったりだった。
「ああ、そうか。泊まる部屋……。」
どうしよう。
此処の家、部屋が俺と伊月のしかないけど……。
「寝られるのであれば、別に1つでも構いません。
私と寧々様、2人で一緒の部屋を使います。」
「あ、いや…その……。」
どうしようか迷っていると、いきなり横から伊月の声が入ってきた。
「それでしたら、右奥の部屋はどうですか?
部屋も広いですし、朝になれば日当たりが良くて最高ですよ。」
「ちょっ!?伊月!?」
「ただ少し散らかってるので、綺麗にしてきます。ちょっと待ってくださいねー。」
突然、伊月がいつもの調子でベラベラと喋り始める。
(しかも右奥の部屋って、それ俺の部屋じゃねぇか!)
兎代が焦って引きとめようとすると、リビングを出る手前で伊月はピタリと止まった。
そしてゆっくりと振り返って、
彼は悪どい笑みを浮かべる。
「……………。」
(……ああ、これはマズイことになったぞ。)
パタンと閉まったリビングのドア。
その扉を呆然と見つめながら、兎代の額にじわりと汗が滲む。
ーーー俺は今夜、あいつから逃げる準備をしなければならない。
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