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にじゅういち。
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キーーンコーーンカーーンコーーン
1限目終了の鐘が鳴る。
2人は早速作戦に入った。
この席は伊月達にとって、見えやすい位置。
だから寧々はそれを利用して、春真の目の入るところで兎代とイチャイチャし嫉妬させるという作戦を立てた。
お互い身体を近くさせ、仲良く話している風を装う。
『どう?兎代さん!春真ちゃんと嫉妬してる?』
度々寧々が春真の様子を小さな声で聞いてくるが、後ろを向いても彼女は何も反応を示していない。
『いや……、駄目だ。全く興味がないみたいだ。』
その度、寧々は落ち込んで眉を下げた。
やがて兎代は、諦めて他の作戦に移行する。
「……次の作戦に行こう。」
2つ目の作戦は、家庭科の実習で作ったクッキーを春真ではなく兎代にあげること。
ハートの型をくり抜いたクッキーを彼女の目の前で渡せば、気が引けるのではないかと。
「兎代さん!これ、私の気持ちです。」
だが実際に試してみれば、春真は普段と変わらない様子で兎代達を見ている。
「……駄目だったな。」
「……うん。」
ーーーそれから3日間、兎代達はめげずに頑張った。
体育の時の荷物運びの手伝い。
帰路を歩く際の手繋ぎ。
プライベートでは、ソファで隣同士になって恋人繋ぎをしたりした。
しかし結果は惨敗。
春真は嫉妬をしないどころか、表情の1つすら変えない。
「……やっぱり、春真は私のことなんてどうでもいいんだ……。」
ソファに座って膝を抱えながら寧々が呟く。
最初は意気込みがあった寧々も、日が経つにつれ元気が無くなっていった。
「……まだ諦めるには早いだろ。あと4日はあるんだ。どうにかして頑張ろうぜ。」
隣にいる兎代を見て、寧々は頼りなく微笑む。
「……そうだね。」
ーーー作戦を実行して4日目。
事態は思わぬ所へと発展した。
「………………。」
「………………。」
なんと春真が、寧々と兎代の側から離れなくなったのだ。
「兎代様、髪の毛にホコリが付いてますよ。」
しかも彼女は寧々に興味を持ったのではなく、兎代に興味を持っていた。
「……あ、ありがとう。」
「………………。」
べったりと兎代にくっ付く春真を見て、寧々も動揺を隠せない。
寧々の作戦に同意していた伊月も、さすがに春真の所業には許せないようだ。
「………熱月さん。少し若様に近づきすぎでは?」
目が笑ってない顔で伊月がそう言うと、春真は冷たい目線で返事を返す。
「あぁ、そうでしたか?それは失礼しました。」
「………………。」
バチバチと2人の間で火花が散る。
その間に挟まれた兎代は冷や汗を掻き、焦っていた。
(これは、さらに面倒なことになったぞ……。)
そしてそれから2日間、
春真は一向に兎代の側から離れない。
それを近くで見ていた伊月は、春真の真意をしっかりと理解していた。
(アイツ……俺を本気で怒らせようとしてるな。)
伊月の唯一である兎代にちょっかいを出し、彼が完全にキレて勝負するのを狙っている。
そうでもしないと伊月と戦えないと、彼女は判断したのだ。
伊月は陰で大きなため息をつき、この先どう解決するか考える。
(……ここは少し手荒でも、無理やり解決するしかないのか?)
彼が最終手段を考えていた矢先のことーーーー
この状況は更に悪化していった。
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