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にじゅうに。
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*
時間はあっという間に過ぎてしまい、作戦決行から5日が経過する。
この日も朝から色んなことを試しているが、彼女の心に響いたのは1つもなかった。
変わらず兎代と伊月に視線が入っている。
放課後の帰り道、兎代達は作戦を続行していてその作戦の1つとしてとある公園に来ていた。
夕陽が沈み、空はオレンジから紫へと変化する。
寧々はトイレに行きたがったので、春真を連れて公共用のトイレに行っていた。
その間に兎代はこの後の作戦を必死に考える。
すると伊月が突然話を持ちかけてきた。
「…若様、少し相談したい事があるんですけどいいですか?」
彼は伊月の表情を見て、何か大切な話なのかもしれないと勘づく。
「……ああ、分かった。」
兎代はそれに頷くと、遠くの公共用のトイレに春真が立っているのを確認した。
「ここじゃ熱月に聞かれるかもな。少し別の場所で話をしよう。」
そう言って、2人は公園の外へと出て行く。
ーーーたった数分、話すだけだった。
その数分の隙で、まさかあんな最悪な事態になるとは誰も想像しなかった。
春真は公共トイレから、伊月と兎代が公園の外に行くのを見つける。
完全に怪しい行動を見せる2人に、彼女は目を細めた。
(何か、怪しい……。)
春真はスッとトイレの方へと視線を向ける。
寧々はまだ出てくる気配がない。
「………………。」
(1、2分なら、離れても問題ないか…。)
一瞬でそう判断した春真は、寧々に気づかれないようにそっとその場を離れた。
少しだけ、少しだけならーーー
「お待たせ春真。ごめんね、私遅くなっちゃって……。」
春真が去ってすぐの事、寧々は少し赤くなった目元を隠しながらトイレから出てくる。
しかしその場には誰もいなかった。
シン……、と静まり返る暗がりの空間。
「………春真?」
彼女のか細い声が、狭いタイルの空間に響く。
(外にいるのかな……。)
そう思って外へ出てみれば、公園には誰もいなかった。
兎代も伊月も春真も……
全員の姿はない。
「あれ?みんな何処に行ったの……?」
ーーーその瞬間、公園を囲んだ黒い木の葉が音を立てて舞い上がった。
勢いのある風がその場を包む。
ゾクッッ……
その時、寧々は何かを感じ取り身を震わせた。
(……なに、誰……?)
彼女はその異様な気配に、全神経を集中させる。
(……誰かに見られてる………。)
公園の周りから僅かに刺さる人間の視線。
それを察知した寧々は、
一瞬にして身体中に恐怖が駆け上がった。
(駄目だ、逃げないとーーー!!)
そう思った瞬間、彼女は地面を蹴りだして全力で走り出した。
パニック状態になっていた彼女は、出口とは全然違う草むらの道から出て必死に駆け抜ける。
(春真…っ…、春真……!)
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