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にじゅうろく。
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ーーーーーー
ーーー
ピチャリ、と雫が落ちる音がする。
何も使われていない古い廃墟。
天井は無く、
ただ満天の夜空が絵のように広がっている。
「………ん、」
そこに横渡る1人の少女。
寧々のぼんやりとしたい意識は、時間が経つにつれ明確になっていった……。
「………ここは………。」
寧々は後頭部に感じる鈍い痛みで顔を歪める。
「っ、………!」
(そうだ……、私いきなり後ろから頭を殴られて……。)
咄嗟に手を頭にやろうとしたが、その手が全く動かない。
それだけじゃない。寧々の身体全体が拘束されていて動かないのだ。
「なに、これ……。」
「やぁ、お目覚めですか?お嬢様。」
「!!」
その声は廃墟の暗がりから聞こえた。
寧々がハッとして顔を上げると、そこには数人の男達が。
手にはリードで繋がれた獰猛な犬達が呻き声を上げている。
(あの犬……、
私を襲った犬と種類が同じだ……!)
「じゃあ……、私を最初から追ってきた人達は……!」
「ご名答。俺たちですよ。
さすが掛川家の干支様。勘が鋭いようで。」
「完全に気配、消してたつもりだったんだけどなぁ。」と言いながら主格の男が近づいてきて、嘲笑ったように寧々を見下す。
「俺らと貴女の相性、バッチリですよね。
なんせ貴女の体質は、狩り本能が強い獣に襲われる体質を持っているんですから。」
「っ!!」
「その獣が獰猛であればあるほど、貴女は威嚇され襲われる。」
男は寧々の髪を触りながら、上機嫌に笑った。
「しかも貴女の月華は、まだ完全に目覚めてはいない。これは幸運でしたよ。
簡単に、貴女を誘き寄せることができた。」
クスクスと笑いながら、彼は寧々の髪を離し元の場所へと戻っていく。
「安心してください。俺ら、貴女にもう危害を加えるつもりはないんで。
死なせずに連れてくるのが、俺らの使命ですから。」
「!!」
後ろから現れる新たな男達に、寧々は身体を持ち上げられた。
抵抗するために、寧々は必死に暴れる。
「っ、離せ!!」
「まぁ…俺らは殺さないとしても、渡した先では必ず殺されるんでしょうね。
なんせ"死ぬ"ことが、アンタ達の運命なんだから。」
その言葉に、ピタッと寧々の抵抗する力が弱まった。
目を大きく開き、涙を落とす。
「………っ………。」
男はその様子を見て、ボソリと呟いた。
「………可哀想なヤツ。」
ーーすると奥の方で、張り裂けるような声が響く。
「そんなこと、私がさせない!!!」
その声にその場にいた男達が全員振り向いた。
寧々もその存在を捉えて、大きく驚いている。
「は、るま………。」
そこには、
黒いスーツに身に纏った春真が立っていた。
「おー、これはこれは。」
主格の男が春真を見て、楽しそうに笑う。
「まだ未完成の月華様じゃないですか。
どうしたんですか?まさかお一人で干支様を救いに?」
「……寧々様を離せ。」
凄むような顔で春真が睨むと、主格の男以外男達は怯えた表情になった。
「ハハッ、すごい気迫。いいんですか?こっちには人質がいるんですよ。」
寧々の首筋にナイフが添えられる。
「!!」
「さぁ、貴女の隠している武器を全てこちらに。知ってるんですよ。
貴女が刃物を扱う月華だということを。」
「…………。」
そう言うと、春真は大人しく持っている武器全てを床へ落とした。
男達はそれを拾い、遠くの方へと投げる。
カランッと金属が床に落ちる音が、広い空間で虚しく響いた。
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