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ろく。
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伊月の表情は穏やかだが、痴漢の手を握る手は力強い。
ミシミシいってるんだけど……。
「な、君は何を言ってるんだっ…!?」
衣服を直し、後ろを振り向けば痴漢はただのサラリーマンだった。
顔を青くし、痴漢をしていた事を否定する。
「誤解だ…!俺は彼にそんな事はしていないっ!」
「ふーーん…。」
ニコニコと笑顔を崩さない伊月。
グイッ
「いっ!?」
すると彼は、握っていた痴漢の手を捻り上げた。
そして彼の後ろに立ち、静かに耳打ちをする。
「……恍けてんじゃねぇよ、おっさん。」
スッと細められる鋭い目付き。
トーンが下がった低い声を聞いて、俺は身体を震わせた。
(伊月の奴、また性格が戻ってる……。)
「……こっちは証拠の写真持ってんだよ。お前がいくら否定しようがそれは変わらない…。」
「ひっ……!?」
「今罪を認めれば穏便に済ませてやる。
……周りはまだ、お前の所業を知らないようだしな?」
周りに視線を戻せば、みんなイヤホンで音楽を聴いたりスマホを見たり…俺たちの様子など気に留めていないようだった。
カタカタと身体を震えさせるサラリーマン。
その後ろで、悪魔のように囁きかける美しい男。
「さぁ、どうする?
罪を認めて助かるか、それを否定して人生のドン底に落ちるか……。」
その問いかけに、答えは明らかだった。
「ご、ごめんなさいっ……!僕がやりましたっ…!」
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