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きゅう。
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*
「はい、こちら伊月。」
ピッとボタンを押して、彼は電話に出る。
スマホじゃないその携帯を見て、俺は仕事用の電話かと思った。
小さい声で話す伊月に、俺は会話を読み取れない。
「……っ!!」
すると、伊月は何を聞いたのか目を大きく見開かせた。
「……わかりました。今すぐそちらに向かいます。」
電話を切り、彼は急いで自室に入る。
次に現れた伊月は黒のスーツに着替えていた。
「え、おい……伊月?」
「悪い、兎代。
龍彦様の所で問題が発生した。暫くお前の側にいられない。」
「はぁっ!?」
相当焦っているのか、口調が普通の伊月に戻ってる。
それほど危険な状態ということなのか。
「安心しろ。決してお前を1人にはしない。後で代わりの者がやって来る。
そいつが来るまで、お前はこの部屋から出るな。分かったな?」
そう言い残して、伊月は俺の元から去る。
バタンッと閉められる扉の音は、酷く冷たく…悲しいものだった。
龍彦様、龍彦様、龍彦様、龍彦様……!
あいつの頭の中は父さんばっかり!!
「あぁぁ!イラつくイラつくイラつくーーー!!」
バンバンッ!と乱暴に枕をベッドに叩きつける。
伊月が去った後、俺は自室に戻って1人、ベッドでむくれていた。
そりゃ仕事なんだからしょうがないさ。
でも、なんか自分より父さんを優先したような気がしてすげえムカつく。
すると家のインターホンが鳴った。
モニター画面を見てみると、そこには俺のよく知るスーツを着た男が映っていた。
白いシャツに黒のジャケット、ネクタイ、スラックス。
コイツが伊月の言っていた代わりか……。
(……初めて見る顔だな。)
俺はボタンを押し、応答する。
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