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じゅうはち。
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コンコン
「失礼します、旦那様。
兎代様を連れてまいりました。」
「分かった。入っていいよ。」
ガチャリと、豪華で重厚そうな扉が開く。
「やぁ、久しぶりだね。兎代。」
「……久しぶり、父さん。」
壁一面に並べられた書物を前に、品質溢れた黒髪の男が1人。
温厚そうな表情とは違い、彼から放たれるオーラは雄大で誰もが跪きたくなってしまう。
これが俺の父、安土 龍彦(あづち たつひこ)だ。
「とりあえずこっちにきて座りなさい。話はそこからだよ。」
父さんに促されて、俺は彼と向かう合うような形になってソファに座る。
「……で?俺になんか用?」
不機嫌そうに睨めば、父さんは苦笑い。
「あらら。そんなにむくれちゃって。
相当今回の事で不満があるみたいだね。
僕が楓くんを取ったから、おへそが曲がっちゃったのかな?」
「ばっ…!違ぇよ!別に俺は楓のことなんかっ…!!」
「あははっ。ムキになっちゃって…兎代かわいい。
大丈夫だよ。お前の大好きな楓くんを取ったりしない。
今回はしょうがなく、彼の力を借りただけ。」
「……借りた?」
「そう。楓くんがこの家の中で一番強いのは知ってるでしょ?
今回はちょっと厄介な相手でね。彼の力がどうしても必要だったんだ。」
「……どうゆうことだよ。」
「見ての通り、僕は安土家の当主だ。
大金が動く仕事を何個も受け持っている。
だから色んな奴から恨みをかって、命を狙われることが多いんだ。」
「…………。」
「いつもはそんな大したことないんだけど、今回僕を狙ってきた相手は他と違ってね。
僕の弱みを握っていたんだ。そしてーーー」
スッと、父さんは俺に視線を向ける。
「彼らは僕の息子である、兎代の命を奪おうとした。」
「!!」
「奴らが動く前に早く片付けたかった。
楓くんに協力を頼んで、その組織の壊滅を図ったんだ。
その結果、見事彼は僕の望み通りにことを運んでくれたよ。
組織は壊滅して、彼らが握っていた情報も塵となって消えてくれた……。」
「……………。」
「……これが今回の事件の全容。兎代、少しは理解してくれたかな?」
目の前で真剣に話す父さんに、俺は驚きを隠せなかった。
そんなことがあったのか…。
俺、アイツから何も聞いてなかったから知らなかった。
「そして問題が解決して万々歳!
……って感じだったのに
誰かさんは怒って家に帰ってくるわ、もう1人は元気なくして帰ってくるわ……さらには怪我人がでるわで………
もう訳わかんないよね。」
「……うっ。」
「だから僕がお前の誤解を解こうと思ってさ。」とにこやかに話す父さんに、俺は恥ずかしい気持ちになった。
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