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伊月のお仕事(※暴力注意)
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おまけ「伊月のお仕事」
これは2章で楓が兎代の元を離れていた時のお話です。ちょっと重い話なので苦手な方はお戻りください。
※暴力・残酷表現が入ります。
ーーーーここはとある地下施設
薄暗い、コンクリートで固められた空間の中で、鋭い銃声が鳴り響く。
「クソッ…!どうなっていやがる!!」
腕に傷を負った年増の男が、数人の組員に守られながら走る。
男には分からなかった。
つい先ほどまで、自分達の立場は有利だったはず。
だが数分前の襲撃で、状況は明らかに変わってしまった。
「原田さん!ここは一旦引きましょうっ…!
本拠地を襲撃された今、我々の立場は非常に不利です!もう一度体勢を立て直しましょう!」
そして生き残った組員の1人が、隠し扉を開けようと壁に手をかける
ーーーその瞬間、男の手に銃弾が撃ち込まれた。
「っ…!!」
「あら、逃がさないわよ?」
暗闇の奥から聞こえる、女の声。
コツ、コツ…と靴の音が大きくなっていくと同時に、恐怖が込み上げる。
男の額から一筋の汗が流れ落ちた。
"たった数人"
指で数える程の奴らに、数百人といた俺の部下は皆やられてしまった。
「……終わりね。
少しでも動いてみなさい?その瞬間、貴方たちの額に大きな風穴が空くわよ」
「あはは、姉さん過激ーー!」
顔に覆面をつけた自衛隊らしき2人の姿。
1人は躰つきのいい女ともう1人は生意気そうな男だった。
「……煩いぞ雲仙(うんぜん)。気を抜くなと何度言ったら分かる。」
奥から聞こえる、空気が凍てつくような冷たい声。
"正体は分かっていた"
2人を退かせて、現れたのは金髪の男。
自衛隊のように武装している奴らと違い、彼は何一つ武装していない。
"アイツ"はヤバイ。
裏社会の上層部で、"アイツ"の存在を知らない者などまずいないだろう。
黒のスーツに、黒の革手袋。
冷たく光る深緑の瞳と後ろに流された金の髪。
あれだけでも俺は分かる。
「………伊月…楓ッ……!!」
「………諦めるんだな。
俺がいる安土家に手を出した時点で、お前らは終わったんだよ。」
近づいてくる伊月に、傍にいた俺の部下たちが立ち塞がった。
「……原田さん、逃げてくださいっ!アイツだけなら、俺たちでどうにか出来ます…!」
「っ…、止めろ!!お前らアイツに触るんじゃねぇっ!!」
伊月の正体を知らない俺の部下達が、彼を取り押さえようと襲いかかる。
彼の腕を捉えようとして手を伸ばした。
「………馬鹿ねぇ、あの子たち。」
その瞬間、空気を切り裂く鋭い音。
「えっ……。」
ほんの一瞬だった。
気づけば彼らは空中に投げ飛ばされていて、俺が認識した頃には全員背中から床に叩きつけられていた。
伊月は何ともない表情で、床に沈んだ男達に一瞥をくれるだけ。
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