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君に出会う
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「卓斗、お疲れ」
「あ、真琴さん。お疲れ様です」
卓斗はいくら世間から『天才俳優』と呼ばれていても上下関係は忘れない。
偉そうに振る舞ったりもせず、陰で努力を欠かさない。
そんな卓斗だからこそなのか、先輩からもよく可愛がられていた。
「今日、この後暇?」
「この後はちょっと事務所に行かなきゃいけないんですよ」
尊敬する先輩である真琴からの折角の誘いだが、今日は仕事が終わったら事務所に来るように、と言われていたので、行きたい気持ちもあったが、申し訳なく断った。
「そっか。それじゃ仕方ないね」
「折角誘っていただいたのにすみません」
「いいって! その代わり、番号交換しない?」
ズボンのポケットからケータイを取り出しながらそう言った。
「はい! いいですよ」
この現場が終わると、当分は真琴とは会えなくなってしまうので、卓斗はその言葉に笑顔を浮かべてポケットからケータイを取り出し、お互いの番号を交換し合った。
「ありがと。じゃ、また連絡するから」
「はい! 分かりました」
「卓斗」
二人が番号を交換し終えた時に、タイミングよく卓斗のマネージャーが現れ、卓斗は真琴に挨拶をすると、マネージャーと共にスタジオを後にした。
事務所に着いてマネージャーから手渡されたのは一冊の台本。
「次の仕事の台本」
「これ…」
台本を受け取った卓斗はそのまま固まってしまった。
理由はもちろんこの台本。
表紙にはには『銀色の翼』と書かれていた。
これは今最も人気の漫画なのだ。
まさか自分がこんなすごい作品に出れるなんて、と信じられないような気持ちが沸き上がってくる。
「そのアニメの声優の話が来てる」
「アニメの声優…。ほんとに僕が…ですか?」
「卓斗もこの漫画好きだっただろ?」
そう、卓斗は自他共に認める大の漫画好き。
特にこの作品は一番気に入っていたものだった。
だから、正直な所、そんな作品に関われるのは嬉しいことこの上ない。
でも、気に入っているからこそ不安なのだ。
自分が出る事によってイメージを壊してしまわないかと…。
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