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おまけ
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「薔薇を10本送る意味って、ちゃんと知ってますか?」
「ううん?キリが良いかと思って10本を頼みましたよ?」
「ですよねー、もうどれだけ完璧な人にプレゼントあげるのかと思って…そわそわしたんですよ」
「完璧な人っていうのは?」
「それは……その……10本の薔薇を送るってことにもちゃんと意味があるんです!」
「完璧なあなたへ、とかそういったことですか?それで…ヤキモチを妬いた、と」
「なんですか……悪いですか。もう!ご飯食べ損ねましたから!ぺこぺこです!温め直します!」
ベッドでごろりと寝転がり少し遅めな朝を迎えた。時刻は9時。
久しぶりにゆったりした時間を楽しむつもりが、ついつい日付が変わる前の不満を口にしてしまい、そのままベッドから抜け出そうとした俺の腕を取るのは愛しい人。そっと引き寄せられると俺の立った気を宥めるように唇が触れた。
「機嫌も直してくださいね」
にこりと微笑むその余裕がズルい。どれだけこっちはヤキモキしたことか。
薔薇と指輪を貰ってしまった俺は、用意したディナーがブレックファーストになってしまって。
なんだかそれが腑に落ちなくて、未だに照れてしまう不意打ちな口付けから逃げるようにリビングへと向かい、すぐに電話を掛けた。
準備が出来たところで二人揃って和やかな空気の中ゆったりと食事を取り、互いにソファへと腰掛けてそろそろ出掛ける準備を始めようかと動き始めた11時半。玄関のチャイムが鳴り響いた。
「ありがとう、兄さん」
「薔薇一本の為に呼び出すなんてどうかしてる」
「だってみんな忙しそうだから、兄さんは今日暇でしょ?」
「暇じゃない」
「そっか、ごめんありがとう」
「……ちゃんと、紹介すること」
「うん、ありがとう」
手短い会話も兄さんらしい。素っ気ないけど、とても優しい繊細な人。素直になれない俺の大切な兄。
そんな兄が持って来てくれたのは、一本のレインボーローズ。
すぐに茎を水揚げが良くなるよう切り落としてリビングへ戻ると、不思議そうな顔が待っていた。
「お兄さん?ご挨拶させて欲しか……あれ?虹色の薔薇……」
「それはまた後日。今からこれで俺からのバレンタインを贈ります」
後ろにピッタリついて覗き込む、その背中の温かさに頬が緩むのを実感しつつ、一輪挿しに綺麗に鎮座する薔薇へ先ほど兄が持って来てくれた薔薇を添える。
「一本は、あなただけ。二本なら、あなたと私」
「そんな意味があるのですか……では、これは僕たちですね」
「そうですよ、しかもこれでレインボーローズは全部で11本です」
「この言い方はまた意味が変わるということですね、うーん……愛してる、とか」
自然と腰にまわった手を取り、腹の上で恋人繋ぎをする。唇の甘さもこの甘さもとても好きだ。
心からじんわりと湧き上がるこの気持ちを貴方に伝えたくて仕方がなくて、11本にしてみました。
意味を教えると、貴方はまたいつものように優しく優しく頬笑んでくれます。そして、甘い甘いキスをくれます。そんな貴方へ。
掛け替えのない貴方へ。
「最愛」
可能性が無限大にあるのなら、俺の心にある愛情全てを全身全霊で贈るのは貴方だけです。
今もこれからも、ずっと、ずっと。
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