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嫉妬と書いてジェラシーと読む
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真冬の日没は早い。
夕方の時間帯ではあるが既に闇色に染まった空を街のネオンが明るく照らす。
そんな繁華街に面した居酒屋の前で一際目立つ男が二人、小一時間ほど押し問答を続けている。
一人はすらりと背が高く涼しげな目元と彫刻のように整った顔立ちが特徴的な美男子。
もう一人は小柄で大きな瞳、カールした長い睫毛、ぽってりとした小さな唇が目を惹く可愛い風貌の少年。
見目麗しい二人が並べば注目の的になるのは言うまでもなく。
その上揉めている……とあれば必然的に視線が集まってしまう訳で。
本人達は気付いていないが通行人だけでなくキャバクラのキャッチやらホストの引き抜き達もチラチラと彼らの方に視線を向けて動向を見守っていた。
「ホントに嘘なんですか?」
「……~~~!!だからちげーって言ってるダロ!?しょーやんのことは勢いで言っただけだから!!」
先程から幾度となく繰り返したセリフを早口で言い終えると紅は居酒屋の入り口に足を向けた。
すると瑛太に後ろから腕を掴まれ、たたらを踏むことになる。
「念のためもう一度確認させて下さい。ホントに嘘なんですね?」
もう何度繰り返したか分からない光景にデジャブすら覚える。
紅は小さく溜め息を吐いた。
紅と瑛太が付き合い始めてもうすぐ一ヶ月が経とうとしている。
強引に言いくるめられて付き合い出した、とは言え恋人には違いない。
バイト仲間である翔太と付き合っていると言ったのは苦し紛れについた嘘だと後付けであるが素直に白状し謝罪した。
最初は驚いていた瑛太だったがすぐに「分かりました」と理解を示してくれた。
……はずだったのに。
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