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青黒い蟠りⅢ
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「柊季!昨日どうしたんだよ!」
下駄箱で出会うなり凪に問い質される。
教室に向かいながら、ずっと何が起きた?何で追った?と問い詰めて来たが、巡に何て話し掛けて、何かを話そうかと考えていた為、ぅん?と受け流す。
階段を上がって教室まで後数歩となった時、ばちんと乾いた音がした。
後頭部がズキズキ痛み出した事で、頭を叩かれた事にようやく気付く。
凪は本気で怒ったようで、先に教室へと入ってしまった。
ここまで怒るとはと想像を絶した。
少しの間その場から動けずにいると、邪魔と笑いながら女友達に背中を叩かれて、その反動で歩き出して教室に入る。
昨日から皆ダルっ…
なんて思っちゃ駄目だな
凪の机に向かって、前にしゃがみ込む。
ふいっと顔を背けて口を尖らせる。
「なぎぃ?…ごめんな?」
「キモッ!、っか、話さねぇと許さん」
「親父かよ……内容なんだっけ?」
軽く睨まられた。
本気で言ってんのか?って感じかな。
あははと笑って誤魔化す。誤魔化せてないけど。
凪はまた、昨日はどうして追い掛けた?と問う。
何て返そうか。
それこそ言い訳がましいと言われそうな事を考えて…。見てないなら嘘を吐いてもバレないと何処かで確信してたりもして。
嘘と真実を織り交ぜていく。
事を起こした罪悪感から、追い掛けて行った。巡は足が速くて、捕まえるのが大変だった。やっと捕まえて、謝罪したら問い詰められて、解散と言うより逃げられた。
?
言い出したのは俺だから謝りたくて、追い掛けた。俺よりも足速くて途中で見失った。探し回って見つけたと思って名前叫んだら、逃げられてしまった。
あたかもそれが事実のように…。
頷いて信じていく凪。
ちょろい…。
簡単に話し終わると、そかそかと納得して許す!と呟いた。
そこは素直にさんきゅ!と返して、席に着く。
チャイムと同時に集まっていた友達は散り、空席だった席が埋まる。
そんな教室全体を見渡しても、巡の姿はなかった。
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