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無力が故に闇に誘われXⅨ - 巡side -
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ノートを凝視している服部を俺が見つめると言う第三者が見れば奇妙な光景。
服部はペラペラと何処かの頁とを何度も見比べノートから急に視線を逸らして俺を見た。
一瞬目が合うと、俺はサッと逸らしてしまった。
が、服部は気にせずに口を開く。
「あんさ、ここに書いてないんだけど…」
「…な、なに!?」
「カラオケとか誘ったら来んの?」
「カラオケ…?」
「おう、ってかまじで世界の音って何?」
カラオケッテナンデスカ?
何て高校生にもなって聞ける訳なくて、スルーするようにもう何度目かの質問、“世界の音”についての説明を考えた。
カラオケ、については家に帰ってから調べよう。
兄ちゃんなら知ってるかもしれない。俺と違って友達付き合いいいし。
「赤峰…?」
「あっと、世界の音は、聞いてみればわかる」
首にかけていたヘッドホンを外してそろっと差し出す。
服部は差し出されたがままにヘッドホンを受け取って装着した。
少しして首を傾げると、外してヘッドホンを見つめながら何も聞こえないと口にした。
コードレスもない、ただのヘッドホンからは何も聞こえる訳ない。
何を期待したかは知らないけど、俺はヘッドホンを受け取ってもう一度服部の耳に装着した。
片耳だけ声が聞こえるように軽く持ち上げて隙間を作る。
「世界の音ってのは、みんなの話し声、生活音の事……だよ、服部…柊季」
俺は持ち上げていたヘッドホンをそっと耳に戻した。
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