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「おい、いい加減起きろよ。」
「ん…」
客用の布団で丸くなって眠る渚の肩を揺らすと、きつく目を閉じて拒絶を訴えて掛布団を深くかぶりなおす。
昨日いきなり俺の前に現れた渚は、「疲れた」を連呼して夕食の後すぐに眠りについた。
それから15時間以上。
正午を過ぎても起きてこない。
渚は昔から良く寝るヤツで。
放っておくと一日中、猫みたいに寝続ける。
「荷物届いたから、起きろって。」
布団をはがして、もう一度呼びかける。
迷惑そうに薄く片目を開けた渚が俺を見る。
「まさ…」
掠れた声が俺の鼓膜を撫でる。
「なに見とん?きっも。」
寝起きでこれだけ憎まれ口きけるって、ほんとある意味才能としか思えない。
「ほら、荷物片付けろよ!」
ムッとして、語気が強くなる。
「まさが、すればいいじゃん。」
気怠そうに俺を見上げた渚が言う。
「はぁ?」
「俺まだ眠いけぇ…、片付けしとって。」
それだけ言って、また目を閉じる。
ちょい!ちょい!ちょい!!
何で俺が!
そう思って意地でも渚を起こそうとするけど、あいつの方が俺より頑固で。
頑なに起きようとしない。
結局、届いた段ボール箱5個を全て片付けてしまった。
コレは本当にやばい。
渚は俺の黒歴史の象徴で。
この世で一番苦手な人間で。
同時に、この世で一番かまってしまう人間だ。
どんなに悪態をつかれても。
どんなに無茶苦茶なことを言われても。
最後には面倒を見てしまう。
それはもう、本能的に。
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