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5.融解3
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「えっと……確か有機ELってディスプレイとかに使われてるやつ……だったような」
さすが城ヶ崎だ。学科主席は読む本が違う。僕はデバイス関連の乏しい知識を総動員して話についていく。負け惜しみだけど、プログラミングとか、ソフトウェア工学の話だったら結構自信あるのにな。僕はこの話題を選んだことを今更ながら後悔した。
「ごめん、僕、デバイスについてはあんまり詳しくないんだ。でも、そっちに興味あるんだったらどうして情報科にしたの? 電子科のほうが合ってるんじゃない?」
さりげなく、話題を本の話から学科の話へすり替える。
「情報科のほうが面白そうだから。でも、情報系だってこっち方面の知識は必要だろ」
「確かに。プログラムはプログラムだけじゃ動かないからね……」
僕は良くも悪くも骨の髄まで情報系だから、その方面については疎い。だけど、これから勉強や研究を進めていく上では避けては通れない分野だ。痛いところを突かれた上に、会話も続かなくなった。学科の話も失敗だったかな。
新しい話題を考えていると、予鈴が鳴った。
「予鈴だぞ」
「……ああ、うん」
本当は本鈴が鳴るまで話していたかったけど、城ヶ崎に促され、仕方なく自分の席に向かう。もちろん、高村の席から遠いルートを通って。
自分の席からあと2歩か3歩というところで、背後に聞き慣れた声を聞いた気がした。
「浅羽」
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