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後日談 夏休み限定遠距離恋愛4
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「せっかちでも何でもないって! 2人で楽しそうに話してたくせに……」
翔太がオレと美里ちゃんから視線を逸らすように俯く。
オレの状況理解が間違っていたようだ。これは兄妹喧嘩ではない。翔太が一方的に、オレと盛り上がってた美里ちゃんに妬いてるだけだ。……盛り上がってたっていうのも、翔太の間違った状況理解だけど。
「翔太、お前誤解して」
「ごめんね、お兄ちゃん。私今から塾に行ってくる。高村さんもごゆっくりどうぞ」
オレが焦ってフォローを入れようとすると、美里ちゃんが玄関にあった鞄を持って靴を履いた。
「あれ、しばらく塾は休みだって一昨日言ってたんじゃ……」
突然の行動に、翔太も戸惑っている。
「うん、授業はないけど、自習室行くことにしたの。それじゃ、いってきます」
「美里!」
「ん?」
「……いってらっしゃい」
翔太が美里ちゃんに手を振ると、美里ちゃんも翔太に手を振って家を出た。そのとき、美里ちゃんは俺だけに聞こえる声でこう言っていた。
「ただのお友達じゃ、ないみたいですね」
**********
それからオレは、翔太の部屋に通してもらった。オレの部屋と違って物が少ない、よく片付いた部屋だった。ベッドがぬいぐるみに占領されて寝る場所がない、なんてことは翔太にはないようだ。
オレが物珍しそうに翔太の部屋を見回していても、翔太は黙ったままだった。
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