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「あれ?」
勢いよく戸を開けたすぐ先で、馬鹿面を下げたあいつが突っ立っていた。
「先生やなくてなんで睦月……」
「あ゛ぁ?」
「むっちゃガラ悪い……」
少し睨んだだけで震えやがって。円の肩を引っ掴んで、その辺の椅子に無理矢理座らせる。怯えながらも不思議そうに下から見上げてくる円が可愛いとかこれっぽちも思ってやしない。断じてだ。
「た、体調悪いんか? 普段から顔色は悪いとは思っとたけど、今日はいつに増しても……」
は、お前のが顔面事故ったかってくらい重傷なくせして、自分より俺のこと心配するとか聖母か。って、尊さを噛み締めている場合ではない。ここは保健室で、今更ながら他に誰かいないか周りを確かめる。
「あっ! 先生な、居らんっぽいねん。職員室にでも行っとる……ぎゃっ」
「それを先に言えよ、馬鹿」
手加減して怪我をしていない部分を叩いた。畜生、無駄に緊張しただろうが。
「ここぞとばかりに、暴力行為働いてきやがる……。なに睦月には俺のこの怪我が見えとらんのか?」
「うるせぇ。どんくさいからそうなったんだろ」
「うぅ……そうなんやけども」
円の泣き言を無視して、怪我の具合を観察する。顔もだけど足も擦りむいている。適当に流水で洗ってきた様子ではあるが、まだ血が出ていて痛々しそうだ。
(やべ……舐めとりたい)
さすがにキモすぎるだろうとは思うが、おもむろに性癖が出てしまいそうになる。しかし今、誰もいないのってまたとない機会なのでは。
——いやいや、ダメだろ。円の足にむしゃぶりついてるところを見られでもしたら、無事に学生生活が送れなくなる。そうなったら、もれなく円も道連れにしてやるけど、どうする一切の交際禁止とかになったら。舐めただけとか辛すぎる。せめて挿入はさせろよ。
「睦月、殺人計画でも考えとるんか。顔が凶悪すぎる」
「黙ってろ!」
「ひぇ……」
思考に耽っている場合じゃなかった。こうしてる間にも、時は迫っていていつ保険医が帰ってきてもおかしくはないのだ。一度、円から離れ棚を漁る。手にしたのは応急セットだ。マキ〇ンと脱脂綿、それから絆創膏を持って円の元へと戻る。
「あ、あの……なに、睦月」
「……怪我見せろよ」
「へ……うわ!」
円がアクションする前に足を引っ掴む。いきなりのことに素っ頓狂な声を上げていたが、俺の方が声が出そうになった。ガキの頃から付き合いがあって、それはもう円のあらゆるところを知り尽くしていたはずの俺だったが、久しぶりの触れあいに加え、刺激の強すぎる円の生足に脳が軽くパニックを起こしてやがる。
(嘘だろすね毛のひとつも生えてないだと!? なんっっっじゃ、この肌のやぁらかさはよ~~~!!??)
「睦月ぃ……?」
引っ掴んだ状態で固まってしまった俺を、訝しんで控えめに伺ってくる円。眉をへにょっとさせて顔を赤らめてるのも、半パンから覗く見えそうで見えないラインもなにもかもヤバ過ぎる。
「ソレまさかとは思うけど、手当してくれたり…」
「あ゛ぁ゛ぁ゛!!! クソッタレ!!!!!」
「!? そんなに嫌ならええんやで! お前の優しさは分かってるから、その気遣いだけで十分やホンマにっ……あああああ!?」
消毒液の匂いが充満する。それもそのはず、中身全部ぶちまける勢いでマキ〇ンを円の膝にぶっかけたからだ。
「あああ……! なにやってん……グッ、ごっつ染みる……!」
「てめぇはよぉ…!」
何がお前の優しさは分かっているだ、なんにも分かってねぇくせに……。こいつのこういった所が、俺の気持ちを酷く荒ませる。空になった容器を投げ捨て保健室を出ていく。「睦月!?」と俺の名前を焦ったように呼んでいたが、しるか!
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