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仲間と嫉妬 03
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大学を出て、光さんの車で街の映画館に来た。
今日のデートの一番の目的。伊織に4DXで今話題のアクション映画を観たら楽しかったと言っていたから、俺たちもそれを観に来たのだ。
光さんは俺と付き合う前に行ったことあるらしいけど、俺は初だからワクワクしている。
チケット代は光さんが払ってくれて、代わりに俺がチュロスと飲み物代を払った。
光さんはチョコのチュロスとアイスコーヒーで、俺はキャラメルのチュロスとぶどうの炭酸ジュース。
「映画館でチュロス食べるの初めてかも」
「そうなの?僕はいつもチュロスだなあ」
「なんか映画=ポップコーンのイメージない?」
誰と来てもポップコーン頼んでしまう。その他のものに目を向けたことない。そんなにポップコーンが大好きって訳でもないのに。
どういう顔をしているのかは分からないけど、光さんは俺の顔を見て吹き出した。
「ふはっ。そうだね。あるね、そのイメージ」
うんうん、と肩を揺らす光さん。
光さんはツボが浅くないからこんなに笑うことはないから珍しいけど、俺の顔を見て笑ったのは許せない。傷付いた。
……嘘だけど!
開場の時間になって、俺たちはロッカーに荷物を入れてから劇場内に入った。
そして座席の肘置きに飲み物を置いて座った。右側に光さんが座る。
「なんかグラグラする!」
「座席が揺れるからね」
いつも映画を観るときに座っている座席はしっかりしてて、こんな風に揺れない。それに、足を置くところもこんな風についてない。
初めての4DXで、いつもと違うところを探してしまう。
そして期待も高まってくる。
そんな俺を見て光さんは何だか弟を見るような、なんかそんな感じの温かい眼差しを向けてくる。
あー……あれだ。鈴音を観るような感じ。
「俺、子供じゃないですよ」
「気付かれちゃいましたか」
「珍しく気付いちゃいました」
失礼しちゃう、なんてキャラブレ感が酷いことを口に出して光さんの目を見ると視線が合う。そしてその瞬間、なんとなくこう思った。
「あーひかさん好き」
本当好き。
あと、なんかこう、こういうことがふと思うことってなんか、幸せ。多分、光さんと付き合ってなかったからこんなことなかった。
光さんパワー凄いな。
そう思いながらもう一度光さんの顔に意識を向けると、何故か赤くなっていた。
「……っ。い、いきなりどうしたの」
「は、え?声に出してた?」
周りにお客さんいるけど、聞かれてなかったかな。
もし聞かれてたら……もし聞かれて……ても気にしないわ。俺は別にいいし。しかも知らない人たちだし。
しかし、光さんが照れるなんてなあ。可愛いな。
「ここ外だからね。家でも個室でもないんだからね」
「ははっ。ひかさん、かーわいっ!」
「もう」
顔を赤くしながら睨んでも可愛いだけですよ。
ほんと可愛いし、好き。
もっと見ていたいし、感じていたい。
そう思っていたのに、上映の始まりの合図が鳴ったから、仕方なくスクリーンの方を向いた。
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